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至高の萌え属性「ツンデレ」は何故見かけなくなってしまったのか?

※この記事は2019年8月13日に書いたものを再度推敲の上したためたもの

唐突に思ったことである。
涼宮ハルヒ柊かがみ惣流・アスカ・ラングレー戦場ヶ原ひたぎ、そして言うまでもなく三千院ナギ、シャナ、逢坂大河、ルイズといった我がアニメ観を彩りしCV:釘宮理恵のキャラ達・・・。 かつてオタク界隈を席巻した「ツンデレキャラ」を今ではすっかり見かけないのだ。
勿論、今でもいないわけではないだろう。しかしいずれのキャラも深夜アニメ視聴者に絶対的な知名度を誇っているとは言い難い。そのようなことを踏まえて、何故、「ツンデレキャラ」を見かけなくなってしまったのだろうか。齢18の弱い頭で少し考えてみることにする。・・・という体の深夜テンションで書いた個人的備忘録である。

曖昧なツンデレの定義

そもそもツンデレの条件って何だろうか。色々な文献を浚ってみたけれど、個人的には3種類くらいに分かれると思う。

1.「ツン」と「デレ」が同じ対象にそれぞれ並立している状態
これが一番わかりやすいかもしれない、いわば最もステレオタイプツンデレな気がする。いわば普段は冷たく接したり時には相手に暴力を振るうような人物が、時としてその相手に「べっ…別にあんたのことなんか好きじゃないんだからねっ!」と隙を見せるパターンである。大体のツンデレはこのパターンが垣間見えるといっていい。この二面性が所謂「ギャップ萌え」を引き起こすのだろう。その過程にある不器用さに萌えるのもまた良し。

2.基本的に周りには「ツン」を貫くが、特定の人物に「デレ」る状態
これはお嬢様タイプのツンデレに顕著だと思う。人の上に立つという立場上、お嬢様には何かしらの矜持がある。そんな中、彼女らの心のオアシスとして、特定の人物ならデレられるという状態を作ることによって、その対象は「自分だけを特別扱いしてくれている」という状況になる。そこにオタクは萌えているのだと思う。オタクが何者でもない社会の歯車であるなら猶更と言っていい。

3.時間経過により「ツン」が徐々に「デレ」へとなっていく状態
出会った時には[ツン 100:0 デレ]の状態だったものが、物語が進むに連れてどんどんデレの割合が上がっていくというものである。好感度のバロメーターと言ってもいいだろうか。基本的にライトノベルのように話が順繰りに進んでいくもののツンデレヒロインはこういったものが多い気がする。例えば、最初は主人公・阿良々木暦の頬にホチキスを綴じたくらいだったのに、キスの過程を経て、最終的には暦とカップルになり、ほぼデレ要素だけになった戦場ヶ原ひたぎなんかがわかりやすい。釘宮キャラも大体これではないだろうか。


ツンデレ」は’’面倒’’である
・・・とツンデレを3種類に分けてみたところで、僕はあることを思った。
ツンデレって面倒だ。
「べっ…別にあんたのことなんか好きじゃないんだからねっ!」というデレがあって初めて「ツンデレ」は成立するし、そのデレを目がけてオタクは「ツンデレ」を愛している。クーデレにしろヤンデレにしろサドデレにしろダルデレにしろ、「デレ」がなければ萌え属性として昇華しないし、オタクは振り向かないのだ。
そうなると、オタク達は「あれ、じゃあ必要なの『デレ』だけでよくね?」という結論に達してもおかしくはない。
そこで、最近のアニメトレンドを振り返ってもらいたい。以前に比べ、異世界転生無双」「日常系」のアニメが増え、全うな「ボーイ・ミーツ・ガール」が減ってはいないだろうか? 一緒くたにしてしまうのもどうかと思うが、これらは安心して・力を抜いて見ることができるアニメなのである。つまり、オタクは以前と比べて疲れてしまったのだ。そしてこれと「『デレ』だけでいい」という概念を結びつける決定的なものが、近年急速にミームとして普及したバブみという新興勢力の萌え属性である。



現代環境にフィットする「バブみ

バブみとは、言わば萌えの対象に母性を感じて甘えたい、という状態を表す感情のことである。特にロリキャラに使われることが多く、例えばゲーム『艦隊これくしょん』の駆逐艦勢なんかはそう言われることが多い。最近では、アニメ『世話やきキツネの仙狐さん』の仙狐さんがこれに当たり、ある種のダメ男製造機としてヒットを飛ばしたのはご存知であろう。
バブみという萌え属性が流行した一因は、個人的に「全肯定」という部分にあると思う。ツンデレと比較して考えるなら、「ツン」を伴わない無条件の「デレ」だ。上述したような「デレ」だけでいいと考えているオタクにはこれ以上ない萌え属性なのである。そしてこれが、SNSを中心としたインターネットを中心に、ペシミストの思考に支配されつつある世の中のオアシスとなる対象となったのではないだろうか。そしてそれが結果として、「ツンデレ」を縮小させてしまったという訳だ。



ツンデレ」の今後

さて、少々話は逸れてしまったが、上記の理由から僕はツンデレを見かけなくなってしまったと推測した。それではツンデレの今後はどうなるのだろうか。このままどんどん忘れ去られてオタク史の1ページに残るのみの死した概念となってしまうのだろうか? 個人的には、そんなことはないのではないかと思う。というのも、これも先程述べたことであるが、現在異世界転生無双」「日常系」という、謂わばツンデレがあまり必要とされないようなアニメがトレンドとなっている。これがまた、以前のように「学園系」「ローファンタジーを中心とした「ボーイ・ミーツ・ガール」の系統が流行るようになれば、再びツンデレヒロインは増えてゆくのではないだろうか。80~90年代にしたって『魔法騎士レイアース』だの『魔神英雄伝ワタル』だの『天空のエスカフローネ』だの、無双はしないかもしれないが異世界転生モノが流行ったではないか。それが少し形を変えつつもまた一周してきたということなのではないだろうか。
詰まる所、今の僕にできることはただ待つのみである。その内きっと、「べ、別にアンタのために待ってなんかいなかったんだからねっ!」と「ツンデレ」は顔を赤らめながら木陰から姿を現してくれるであろう。