ハテナのごとく!

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自分の「人間力の低さ」と向き合った『Niconico Wanna Be Friends!!』制作後記

 

曲リスト

Niconico Wanna Be Friends!!_曲リスト.xlsx - Google スプレッドシート

 

 

――やあ。

こっちの方で書くのはなんと1年ぶりだね。ここ最近はユーザー数の関係上、noteの方が明らかに見てもらえることが増えたのでそちらに移動してしまった。でもここをそう疎かにもしたくないし、今回は制作後記なのでこちらで。

そういったわけで、普段の日記のように不毛な哲学をつらつらのたまう記事じゃないから手短に行くよ。


諸君は「人間力が低い」と聞いてどういった事柄を思い浮かべるだろうか。

 

おいおい、今しがた不毛な哲学は言わないって抜かしたのに、たった一行で矛盾してるじゃないか! というツッコミが入りそうである。実際のところ僕もそう思う。前座に答えのない問題をぶつけることが好きなのである。たぶん。

しかし許してほしい。……というのも、これが今回の制作動機に関わってくる重要なファクターだからだ。

僕の人間力の低さは他人に合わせられないことにある。これが現実(リアル)だけならまだしも、インターネットでもそうなのだ。趣味や嗜好がどうしても合致しない。

これは僕がトレンドを追うことをせず(そもそも気力がないのでできず)、懐古主義に重きを置いているのが主な原因なのだと思う。普通の人間は片方の眼で過去を、もう片方で未来を見据えているというのに、僕の眼は何故だか両方過去を見ている。それも、そこばかり凝視している。

そんなわけで、過去に投稿したニコメドも基本的にはニコニコ動画で流行っている楽曲など意にも介さず、自分の好きな楽曲だけで作り続けてきた。

案の定、動画はあまり伸びてくれなかった。中にはニコニコ動画よりYouTubeの方が再生数が多い作品もあり、視聴者層とのギャップを痛感した。当初僕は、この原因をニコメドの主流であるDTMではなく、原曲メドレーとして制作しているからとも考えた。しかし、去年になってそれが決して抜本的な原因ではないことに気づいた(この辺から本題)。

というのも、近年は原曲メドレーでも界隈を中心として視聴者から高い評価を受けているものが多いからだ。特に今回の制作契機となったのは昨年の年末、「メドベントカレンダー2023」でそれぞれ投稿された『ニコニコ動画麒麟児』と『Nico+Shitekinium』である。

それなりに毛色の違いはあれど、僕はこれら2作品が高い評価を受けた要因として以下の4つを抽出した。

 

①疾走感

この中では唯一、僕が元々制作において意識していた事柄である(できるとは言ってない)。所謂「駆け抜ける系」のメドレーにおいては必須とも言えるかも。

ところがこれを出すのにはそれなりの構成力が必要であり、特に原曲メドレーの場合は楽曲への依存度が高めであるからできる構成が限られてくる(他の技術にしてもそうだが)。また、決してBPMが速ければ疾走感があるというわけではない点に留意されたい。

 

②トレンドの楽曲を取り入れる

直近のニコニコ動画のコンテンツはもちろん、直近の邦楽などでもこれは当てはまる。結局のところ視聴者が楽曲を知っているほど親しみやすくなるということである。

またこれは体感だが、②を満たすことは①を満たすことに必然的に繋がっているように思える。というのも、最近の楽曲は一昔前のものと比べると疾走感があるからだ。僕は音楽理論に詳しくないので何とも言えないが、これには丸サ進行や、VOCALOID出身のコンポーザーの楽曲が増えていることに影響しているのではないかと考えている。

他方で、単純明快で「一発屋」の代名詞のようでもあったカノン進行は近年の楽曲にはほとんど見受けられない(参考:2022年のボカロ曲のコード進行を調べたら衝撃の結果に!)。僕はカノンコードが好きで、その辺が楽曲知識をも平成に置いて行かれている原因でもあるのだが、実際のところ今作にカノン進行が出てくるのは『スケッチスイッチ』のところくらいで、他は殆どないはずである。

先述した通り僕はトレンドの楽曲知識が殆どなく、音MAD経由で知るものが一番多いくらいである。しかし何故だか最近のVOCALOIDに関してはそれなりに原曲を知っていたので、今回はボカロ楽曲が全体の4割近くを占めている。他方で御三家繋がりで言うなればアイマスを殆ど使えなかった(僅か5曲で、しかも最近の楽曲と言えば『平行線の美学』のみ)のは悔やまれるところである。

 

③3曲以上の重ね

原曲メドレーというのはどうしてもDTMに比べて必然的に音が嵩張ってしまいがちであり、かつては2曲までしか重ねていないものが構成の大部分を占めていたと記憶している。これはあくまで僕の主観であるが、この既存概念を打ち破ったのは2018年投稿の『Favo s0unds』ではないかと思う。この作者は『Nico+Shitekinium』と同じ人物なのだが、頻繁に3曲以上の重ねを用いてかつ、全く聴き心地の悪い部分がない。当作は原曲メドレーとして唯一「ニコメド10選」において1位を獲得しているくらいなので、僕以外の多くのニコメド作者にも影響を与えたことだろう。

更に、技術を持つ作者が増えたことにより音を加工することが増えた。例えばイコライザーで出力を調整したり、ボーカルを抽出したりといった技法である。特に後者については近年Ultimate Vocal Removerが登場したことによりほとんどの楽曲においてボーカルどころか音域・パーツごとの抽出が可能となった。今作ではそれをふんだんに活用している。また、加工については知識がないので音源監査という形で頼らせてもらった。

 

④Medley-PV

単に元の動画を貼り付けて出典を書いただけでも「Medley-PV」と呼称されることがあるが、それだけでは工夫が足りないように感じた。

何も『ニコってる?!』のようなオーパーツレベルでカオスなPVを作れと言うわけではないが、ある程度楽曲と紐づけたコンテンツを列挙するような動画制作を心掛けた。この辺りは特に『ニコニコ動画麒麟児』を見てみると顕著なので是非視聴して頂きたい。ちなみに上記の②を満たせないとこうした動画構成は非常に困難になってくるので、意識の中ではこの2つは表裏一体の両輪として働きかけていた。

しかしながら、僕は芸術的センスが非常に欠けているため、今作の動画が果たしてどの程度視聴者に訴求できたのかは疑問である。かなり基礎的な動画の技法に関しての知識すらあまりなく、まずもってどこを見て学んだらいいのかが分からないのである。界隈が狭い以上どこを見ても「Medley-PVの作り方講座」なんてものはない。ニコメドの動画制作者とついでに音MAD作者辺りがaviutlのプロジェクトファイルを公開してくれたらいいのに……

 

 

以上4点に重きを置いて、僕は動画制作を始めた。製作期間は実質3週間くらいなので普段と比べて特別時間がかかったというわけではない。しかしそれでも今までやってこなかった多くのことにチャレンジしつつ、より多くのフィードバック・感想を貰いたいという一心で創り上げたので、どうかコメントを貰えれば幸いである。

また、音源監査を快く引き受けてくれた8:51:22 pm氏を始め、空リプで投げた質問に快く回答を頂いたnicomedkey鯖の界隈の方々に深く感謝を申し上げ、記事の締めとする。

 

そして最後に、この動画を某氏に捧ぐ――。