ハテナのごとく!

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『駆け抜けるアニソンメドレーRespectⅢ』制作の背景と解説(と好きなアニソンの紹介)

※当記事の趣旨上本作を冒頭に挙げておくが、どちらかといえば視聴する前に読むべきかもしれない。無論視聴した後でも何ら問題はない。

……結局作ってしまった。
一身上の都合により暫く個人作を淀む宣言をした前回の作品から1年と経たずして、早くも舞い戻ってきた。

その間にTwitterからの移住を画策したりなど他のことも行ってきたが、とどのつまり再びモチベーションが湧いたのは本家の『駆け抜けるアニソンメドレーⅧ』の影響である。まずはこちらを視聴するべきだろう。

もちろん単純に新作が見られる事実も嬉しいところだが、最も印象に残ったのはこれまでにない構成の自由さである。僕は以前から新しい「駆けアニ」の可能性を考えており、前作の一部分ではハネリズムというか、ジャングルビートというか、とかく使われにくいようなアニソンを起用したりもしてみた。これに加えて今回Ⅷを視聴し、BPMを変えていたりだとか、一致音(いわゆる構成において隣り合う楽曲同士の「メロディが共通している部分」)に囚われすぎないだとか、今までとは違う一面を見せた「駆けアニ」をリスペクトしたいと考え、何度目かの行動に移すこととなった。
そこで思い出したのが、かつて正岡子規が技法に囚われた古今和歌集を嫌い素朴な万葉集を愛した、という逸話である。どんな物事も根源には原点となるもののエッセンスが内在しているのだから、僕自身も同様に原点に立ち返り、今一度自分の「アニメ/アニメソング」におけるアイデンティティとは何か? という部分に向き合うべきだ。これが今回の作品の目的となった。

とはいえコンセプトの都合上、ある程度一致音を意識して活用しなければ本家に準じた構成には仕上がらないと思う。よって重要なのは先述したように囚われすぎないことである。あまりにも一致音のことを考えすぎるとマズローの金槌よろしく最終的な完成を目にする前にバイアスがかかり、却って支離滅裂な構成になりかねない。何事もバランスが大事なのだ。尤もそこが簡単にできれば苦労しないので、構成中は常々苦慮しているのだが。

その渦中で、僕はニコニコメドレーという独自体系をルーブ・ゴールドバーグ・マシンに近いものだと捉えた。駆け抜けの系統であればなおさらのことである。
A地点からB地点までレールを転がるビー玉があったとしよう。この2地点を何の淀みもなくビー玉がまっすぐ転がったとして、確かにそれは作品なのかもしれないが、面白みは皆無に等しい。だからルーブ・ゴールドバーグ・マシンは、ビー玉がB地点に向かうまでの様々な障壁をエンターテインメント性をもって作り上げる。

例えば、先程のレールの左右に洗濯バサミを交互につけてみたとしよう。するとどうだろうか、ビー玉は洗濯バサミの面に沿って転がり、蛇行するような動きを見せる。その動きを視聴者側は目で逐うことによって、思わずビー玉の行方に注目してしまう。

何が言いたいかといえば、これこそニコニコメドレーに通じる面白さではないか、ということである。
最初の楽曲Aから最後の楽曲Bまでを、どのように仕掛けを施しながら繋いでいくか、どのように飽きさせない構成にするか、どのように視聴者が目で逐うようなコンテンツを作れるか? 工夫の余地は数多あるのだ。
そして何よりも途中でビー玉がコースの上を外れてしまうような、構成上の破綻があってはいけない(稀にその破綻をもってエンターテインメントとする作品もあるが、少なくとも駆け抜けでは無縁だと思っている)。そして破綻がないように全体の手綱を握るのはもちろん制作者であり、その塩梅を調節するのがB地点、即ち完成までの過程なのだ。

概ねこんな感じのことを考えながら制作していたので、折角ならと可能な限りの言語化をして、作品解説の前置きとさせて頂く。
なお、繰り返すようだがこの理念は言うだけならタダであり実際に具現化するのはとても難しいものである。故に当作がこの理論の範疇に置かれているのかどうかについては僕自身では判断ができない。そうなると第三者の意見が必要になってくるので、上記を読んでから再び視聴を行い、意見を頂ければこの上なく幸いである。

ざっと構成解説

※楽曲リストを追って読むことを推奨。
スプレッドシートこちらからどうぞ。

001 コバルト
002 Contrail~軌跡~
003 STARGAZER ~星の扉
004 Destin Histoire
005 ルビコン
006 My Dearest

最初の部分。最初の楽曲は自由すぎる故に迷うので時事性のあるものを採用することも多い。よって2022年でトップクラスに好きだった楽曲を最初に置いた。
Aメロから始まっているのも大きな特徴とも言えるが、サビから始まる楽曲でもとりあえず最初のメロディを置くのが始まりには相応しい気がする。
005→006は誰かが気づいたであろう一致音。

001の『コバルト』は上述したように2022年屈指の好きな曲。シリーズ通してアニメも綺麗に完結したが、楽曲も本当によかった。

007 RE: I AM
008 六等星の夜
009 ツキアカリ
010 MY FATE
011 signal

かなりの序盤にして前置きで述べた自由度の影響を最も大きく受けた部分。
BPMも半分になりかなりスローテンポな印象で、果たして駆け抜けているかといえば疑問なのだが、これが当作の持った回答とも言える。
繋ぎに関しても008→009など一致音こそあれどかなり雰囲気で押した感じ。こうしたはっきり言ってしまえば直観的で雑な繋ぎが繰り返し出てくることとなる。

008の『六等星の夜』でAimerを初めて知ったユーザーは多いだろう。

012 Vacancy
013 ワンダーランド
014 Fastest!
015 GATEⅡ ~世界を超えて~
016 解読不能
017 Alicemagic ~TV animation ver.~
018 ニセモノ
019 Rising Hope
020 アツクナレ
019 Rising Hope
021 ドリームトリガー

再びBPMは192に戻る。ここでは『Rising Hope』が2度登場しているが、こうした再登場も今回はかなり多い。直感的ゆえの構成と言える。
016の『解読不能』は『ニコニコ動画流星群』への収録でもお馴染みの曲。これがなければメドレー界隈内の知名度はほぼなかっただろう。

014の『Fastest!』も001同様2022年お気に入りの楽曲。同年は個人的にかなり好みの楽曲(特に秋)が多かったので全体的にも多めに入れている。こうした楽曲を収録できるのも醍醐味だろう。

022 時空旅
023 Love is Here
024 プリズム
025 COLOR
026 逆様ブリッジ
027 FLAT
028 シロツメクサの願い
029 Feel on the wind.

ここまで通して全体的に新しめの楽曲が多かったので、少し古めのものを入れたいと思いV系のアニソンを3連発。022-024はメロディも似ているのだが、うまいこと繋がらなかったので2→4→6小節という形に。
僕の主な趣味の範囲が00年代-10年代前半にも拘らず10年代後半以降の楽曲が多くなってしまう点については、後者の方が恐らく原曲の疾走感やメロディの傾向が『駆けアニ』に適しているからであると考える。特に邦楽にボカロのエッセンスが入ってきたここ最近では顕著なものだ。

028の『シロツメクサの願い』はアニメでは流れていないがイメージソングなので採用。marbleが醸し出すまさにひだまりな雰囲気の楽曲。本家にもそろそろイメージソングやキャラソンの収録があってもいいのにと思う頃合い。

030 サクラキミニエム
031 オリオンをなぞる
032 アメイジング ザ ワールド
033 星の在処。-ホシノアリカ-
034 STAND UP TO THE VICTORY ~トゥ・ザ・ヴィクトリー~
035 ココロニツボミ
036 流れ星☆
037 翼はPleasure Line

全て原キーであり030-034までは4小節ずつと小綺麗にまとまっているパート。何となく似たようなロックナンバーを繋いでいった。ちなみに今回ガンダムシリーズの楽曲は5つある。00が一番好きなのに今まで入れられたことがない。
そして上記の流れが却って単調すぎる気もするので035で雰囲気の転換を図り、036-037でスパンを短くして切った。

037の『翼はPleasure Line』は『ランティス組曲』にも収録されている。作曲はアニソン好きにはお馴染みの上松範康。この楽曲の翌年に『ETERNAL BLAZE』で水樹奈々と共にその名を知らしめることとなる。

038 NEWLOOK
039 Climber's High!
040 fake town baby
041 BLOOD QUEEN
042 経験値上昇中☆

038→039は初代『駆け抜けるアニソンメドレーRespect』の使い回し。他にもいくつか使い回しは登場する。
041→042の繋ぎはかなり強引。041『BLOOD QUEEN』にメロディが似ている楽曲は『微熱S.O.S!!』/『アイドルマスター XENOGLOSSIA OP』、『ときめき♥フォルテッシモ』/『乃木坂春香の秘密』INなどもあるが方向転換を図りたいと思い042で一致音を駆使してBメロを使い転調を図った。

040の『fake town baby』は本家Ⅶにも登場している楽曲。歌詞がいかにもUSGらしいといったところ。

043 コンディション・グリーン ~緊急発進~
044 微かな密かな確かなミライ
045 ハレ晴レユカイ
046 Ring Ring Rainbow!
047 ゆるゆりんりんりんりんりん

042の転調によってキーがFmajに。数年前から思いついていた046→047→048の繋ぎに持っていこうとしたためそこまでの過程が少々強引になった。
カノン進行なのである程度誤魔化しが利くのは救いか。

045の『ハレ晴レユカイ』は言わずと知れたアニメソングを代表する楽曲。2年前のコロナ禍では平野綾杉田智和などによる「お家で全力ハレ晴レユカイ」も公開された。この上ないファンサービスである。

048 solar wind
049 Snow fairy
050 GOOD LUCK MY WAY
051 I、愛、会い
052 CLASSIC
050 GOOD LUCK MY WAY
053 サウンドスケープ
054 君の知らない物語

先述した047→048の繋ぎで再び明るめのバンドアニソンを中心に。
050-054は没案を改良したものでありすんなりつながった。050→053の繋ぎを見るに結局一致音なくして原曲では駆けアニの皮は被れない気がする。
そしてまだ1/3にして『君の知らない物語』が登場する。

048の『solar wind』は爽やかなロックナンバー。シュノーケルは他にもこういった吹き抜けるような楽曲が多く好みである。

054 君の知らない物語
055 それは僕たちの奇跡
056 瞳の中のファーラウェイ
057 リトライ☆ランデヴー
058 カクテル

平場で『君の知らない物語』を繋ぐのに最早違和感を覚えてしまったが、再びカノン進行系統に持っていく。055→056も初代の使い回し。なお056がなく仮に055→057であってもほぼ自然に繋がるようにはできているのだが、後に節目となる100曲目などでの調整を考えあえて2小節ずつにしている。こうした「構成上抜いても問題のない楽曲」を挿入して調節を行っていたりもする。

058の『カクテル』は寂寥感のある曲。アニメ、ひいては原作を視聴後に聴くとしみじみとする。なお同原作者の城平京による『虚構推理』は現在2期が絶賛放送中である。こちらも是非。

059 ライムツリー
060 情報
061 Fate of the World
062 ファティマ
063 Get along
064 メロスのように -LONELY WAY-
065 Romantic Chaser

058で雰囲気を変えてマイナーコード寄りにシフト。その058→060はどれも4小節目に結構なブランクがあり、疾走感という点では劣るものの統一感が出ているので採用とした。
061は今回のアイマス枠。

064の『メロスのように -LONELY WAY-』は今回の収録の中では最古の楽曲。曲は知らずともタイトルを聴いたことがあるユーザーもいるのではないだろうか。余談だがBメロが『君のこの声が届きますように』/『金色のガッシュベル!!』OPのサビとほぼ同じメロディをしているので再利用する案もあった。

066 Edelweiss
067 The Everlasting Guilty Crown
068 Love Destiny
069 サヨナラの惑星
070 HEY YOU!! ~失ってはならないもの~
071 Agape

何となく僕の中での既視感もありすんなり決まった部分。066→067みたいな2・6小節の構成が今回は特に多い。
067→068は本家Ⅱ駆け合作Ⅱのリスペクト。また068→069は駆け合作10thの使い回し。

071の『Agape』は言わずと知れた名曲。SONY主催の平成アニソン大賞においてかの『残酷な天使のテーゼ』と共に大賞を受賞している。アニメを見ても1話と最終話に挿入歌として流れるので印象深い。岡崎律子氏よ、安らかに。


072 1/6の夢旅人2002
073 強ing!Going!My Soul!!
074 輝く世界の魔法
075 アカシア
076 カワルミライ
077 星の海の記憶
078 Dream Hunter
004 Destin Histoire
079 愛情のカタマリ
078 Dream Hunter

半分に差し掛かり「あの楽曲を入れたかった」という構成が特に見え隠れしているパート。『カワルミライ』『Destin Histoire』は最早僕の構成においても精神安定剤となっている。
また075→076の繋ぎは一致音でないにも関わらず音が重なっているが、これもⅧの影響を受けた部分である。ある種の妥協点と言えなくもないが。
078~は没案の使い回し。

そして折角なので3曲分くらいの紹介を。
072の『1/6の夢旅人2002』はその筋には有名な『水曜どうでしょう』のOPテーマ。2019年以降に『ゆるキャン△』とのコラボによりこの楽曲を使用したMVが公開されたため、イメージソングとして採用。
ちょうど半分に位置する075の『アカシア』はYouTubeに公開された『ポケットモンスター』シリーズのアニメーションPV『GOTCHA!』の主題歌。ポケモンが好きで見ていない人などいないだろう。
077の『星の海の記憶』は故・長瀬麻奈が遺した歌。僕はあまりアイドルアニメに詳しくないのだがアイプラは何となく設定に惹かれて視聴した。しかしよもや声優までもが彼女をなぞることになるとはなんという皮肉だろうか。惜しむばかりである。

080 閃きハートビート
081 リトルソルジャー
082 Mysterious
083 Cycle
084 かがやきサマーデイズ
085 エチュード
086 The Key
087 モノクローム
088 CROSS GAME
089 Take The Wave
090 風の日
089 Take The Wave
091 極限Dreamer

080-081は先述した2・6小節の繋ぎ。
081-084は原曲の印象がかなり違うのだが一致音で強引に繋いでいるため展開がかなりしっちゃかめっちゃかになっている。この辺りは打ち込みだったらどうなるのだろうか。
085→086の展開は本家Ⅷの051→052のリスペクト。みゆはんの曲はこれと『ぼくのフレンド』しか知らないのだけれど、アニタイも実質この2曲しかないのは意外だった。
086-091までは全部バンドアニソン。疾走感を出せるので毎回助けられている。なお089-091は没案の使い回し。個人的に気に入っていたので何とか取り入れることができてよかった。

084の『かがやきサマーデイズ』は2022年夏にYouTubeに公開された『ブルーアーカイブ』のショートアニメにおけるEDテーマ。正式なアニメ化も発表され、今最も熱いコンテンツだと信じて憚らない。


092 X.U.
093 流星
094 約束
095 逢いたいから
096 LOVE SICK
097 changes
098 デイドリーム ビリーヴァー
099 * ~アスタリスク

100曲目へ向かうパート。
092-096は適当に一致音を使いつつ繋ぎ。
097-099までは正直なところかなり雑になってしまった。098の時点でラップ風味のパートがORANGE RANGE繋がりで099と結びつき何となく繋いだ訳だが、果たして打ち込みだと再現できるのかどうか。また99曲目ということである程度知名度の高い楽曲を使用した。

098の『デイドリーム ビリーヴァー』は『コードギアス』シリーズの15周年に当たり、同作品を楽曲面から支えてきたFLOWとORANGE RANGEによる豪華コラボユニットの歌唱。
折角の豪華コラボなのにOP映像が手抜きで残念とか言われていた気がするが、確かに再放送版ということを踏まえても解らないでもない。

100 カラカラ
101 ロケットビート
102 青空モーニンググローリー
103 さくら咲く青い春
104 リトルチャームファング
105 冒険でしょでしょ?
106 wild vision
107 MISTY HEARTBREAK
108 ひかりひとつひらり
109 Dream☆Wing
110 Little Primrose
111 めてお☆いんぱくと

100曲目に到達。その節目には何の楽曲を入れるかも迷ったが、知名度・時事性共に抜群な結束バンドを採用した。
103-106辺りも先に述べた081-084同様、かなり一致音を強引に駆使したため展開が変わる。ちなみに105→106の繋ぎは105にE♮がなければ4音一致していたりもした。だから何だという話だが。
そして107から直接112に行くには少々違和感があったのでクッションとして108→111のパートを取り入れた。111に関しては初代『駆け抜けるアニソンメドレーRespect』でも同様の部分を使っているので、キーの切り替えをしやすいと言える。

102の『青空モーニンググローリー』などなど『One Room』シリーズにはとても好みの楽曲が多い。中でも図抜けて『サーチライトと月灯り』が絵に描いたようなエモサウンドで気に入っている。今回は採用していないが、薦めたい枠として置いておく。

112 キミガタメ
113 イチズ
114 WHITE REFLECTION
115 Faze to love
116 STILL TIME
117 純白サンクチュアリィ

キーはG(Em)に。ここから最終パートまでほぼすべての部分はこのキーとなる。この辺りも実は没案をまとめたもの。最初は112-113の辺りに『Vermillion』/『ぼくらの』EDがあったが削っている。
また116のようにキーが±5になってしまう楽曲も取り入れており、原曲という都合上聴き苦しいところではあるが、フォルマントを弄るなどしてどうにか対応している。

117の『純白サンクチュアリィ』はあまり知られていないが茅原実里の1枚目のシングル。このアニメ『キディ・ガーランド』は前作の『キディ・グレイド』を引き継いだ世界が舞台であり、2009年には正式にアニメ化もされている。だが実際のアニメ化はこのパイロット版とは異なりかなりギャグに振られていた印象。
なお内田彩の初主演作品でもある。

118 今日に恋色
119 MonStAR
120 Princess Rose
121 木の芽風
122 dawn
123 面影ワープ
124 The Misfit Go
125 Shiny tale
126 紅蓮華

118→121は4×4小節で比較的穏やかに繋ぎ、122から一気に加速していく。
そして落としとなる126は1小節にも満たずして切り替わる。実はこうした構成にも意図があって、『紅蓮華』のような殿堂入り級のアニソンを「チョイ役」として出すのはパートが引き締まるのではないかという私見を持っているからである。
本家で言えばの『ETERNAL BLAZE』のような使い方のイメージだ。

119の『MonStAR』は平野綾の6枚目のシングル。懐かしの『アニたま』枠や『もえがく★5』のEDとして使用されたわけだが、この『もえがく★5』という作品、前半はアニメなのだが後半はオムニバス形式の実写パートとなっている。というのも、「5か国語を学ぶ」というエデュテインメントを含めた番組でもあるため、実写パートでは平野綾が実際に外国語をレクチャーされるというくだりがあるのだ。

127 恋の魔法
128 Bright way
129 曖昧さ、幸福論
130 ダイキライは恋のはじまり

4曲分だけ挟まれるCmajのパート。
暫定的な全体の流れが完成した時に4曲ほど余らしていたため、好みの曲を漁りながら即興で繋いだためにこうなっている。その割にはそこそこうまく繋げたので差し込めてよかったかなといったところ。

129の『曖昧さ、幸福論』はこれまた2022年の好きな楽曲。僕の好みの傾向にあるアニソンの中でロックバンドのような楽曲はこれからも絶えることはないのだろうが、こうした一昔前を匂わせる、ノスタルジーなものは潰えていく運命にあるかもしれないと位置付けている。
130の『ダイキライは恋のはじまり』は『ハヤテのごとく!』のヒロインである桂ヒナギクの歌う曲。僕はこの作品を愛して止まず、同作の楽曲をこれまで数多く自分の作品に取り込んできたが、中でもヒナギクの楽曲は4度も出している(他3つは『本日、満開ワタシ色!』『Steppin'』『春ULALA♡LOVEよ来い!!!』)。
何がとは言わないが、何かと救われているのだ。

131 月導 -Tsukishirube-
132 I MUST LIVE
133 courage
134 ハナノイロ
135 ディアブレイブ
136 Strike Party!!!
137 REBEL FLAG
138 ISOtone
139 消えないで…

いよいよパートは最終盤へ。よって畳みかけるような構成をなるべくして意識した。
137の『REBEL FLAG』は本家の採用こそないものの何故か僕のようなリスペクトのアニソンメドレーで非常によく見かける楽曲。かくいう僕も使ったわけだが、組み込みやすいのだろうか。

132の『I MUST LIVE』は90年代のOVAのEDという何ともマイナーな楽曲だが、歌っているのは『Little my star』/『魔界天使ジブリール -episode2-』OPの歌唱やFunta名義での作曲活動でもおなじみのUCO(U)である。かなりキャリア初期のものであり、ジュディマリの影響が見て取れるのではないかと勝手に思っている。
ちなみに後に椎名へきるが『live to love -もう少し早く逢えたなら-』というタイトルでリアレンジを披露しているらしい。

140 少年少女
141 宇宙で恋は☆るるんルーン
142 ヒロメネス
143 ここから先は歌にならない
144 -僕はここにいる-

いよいよ『君の知らない物語』のシルエットが見えてくるようなラストスパートに差し掛かる。終盤感を醸し出す楽曲として140を採用。この辺りになると曲数管理がカツカツになってくるので、言い訳すると141→142の繋ぎはかなり雑になってしまった。その分142→144は1曲のスパンを長めにとっている。

余談だが、僕の中で10年代後半のアニメソングを特徴づける事例として、サビが8×2ではなく16×2小節でできている楽曲が増加したというものがある。例えば当作で言えば142と143の楽曲がそうで、他にも有名どころでは『青空Jumping Heart』/『ラブライブ!サンシャイン!!』OP、『ボタン』/『ReLIFE』OP、『らしさ』/『ばらかもん』OPなどがある。
これにより楽曲を大きく展開することが可能となり、構成にもまた新たな味が出てくるというものだが、今回はその142→143を8小節ずつで使うに留まった。
どうして突然流行りだしたのかは依然不明だし、そもそも調べてもあまり触れている人を見かけない。よって個人的な結論を絞り出すのであれば、堀江晶太の影響が大きいのだと思う。

そして140の『少年少女』は僕が2021年のアニソンで最も気に入った楽曲。
銀杏BOYZ初のアニメタイアップということでも注目されたが、見事なまでにジュブナイルという実体のないものを歌いあげており、アニメの引きと相俟って強く印象に残る楽曲となった。


054 君の知らない物語

145 Shout Baby
146 ノーザンライツ
147 Unnamed World
148 光のシルエット
149 さよならのゆくえ
150 小さきもの
Fin. 君の知らない物語

最後のパート。
お馴染み『君の知らない物語』は今作では延べ3度登場することとなっており、これは恐らく本家でも類を見ない。単純に構成力不足と言える。
そもそも今回は『君の知らない物語』で終わらない構成を考えてみよう、とだいぶ序盤に意気込んだのだが、いくつか考えるうちに結局この曲が一番収まりがいいと結論付け、平常運転の踏襲となった。最早『君の知らない物語』以外で終わる構成を考えられないのである。

その分150曲目にはある程度格といったらおかしいだろうが、最後に相応しい楽曲を入れたいと考え、『小さきもの』を採用した。一致音もあるのでちょうどいいと思う。

さて、ここまで非常にざっくりとした形で構成上の背景を可能な限り言語化してきたわけだが、参考にするユーザーは皆無に等しいだろうし、実際そうでも構わない。
ただ一つ願うことがあるとすれば、ここに紹介した楽曲を聴いてほしいということのみだ。

諸君らのよいミュージックライフを願っている。