ハテナのごとく!

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自分の「人間力の低さ」と向き合った『Niconico Wanna Be Friends!!』制作後記

 

曲リスト

Niconico Wanna Be Friends!!_曲リスト.xlsx - Google スプレッドシート

 

 

――やあ。

こっちの方で書くのはなんと1年ぶりだね。ここ最近はユーザー数の関係上、noteの方が明らかに見てもらえることが増えたのでそちらに移動してしまった。でもここをそう疎かにもしたくないし、今回は制作後記なのでこちらで。

そういったわけで、普段の日記のように不毛な哲学をつらつらのたまう記事じゃないから手短に行くよ。


諸君は「人間力が低い」と聞いてどういった事柄を思い浮かべるだろうか。

 

おいおい、今しがた不毛な哲学は言わないって抜かしたのに、たった一行で矛盾してるじゃないか! というツッコミが入りそうである。実際のところ僕もそう思う。前座に答えのない問題をぶつけることが好きなのである。たぶん。

しかし許してほしい。……というのも、これが今回の制作動機に関わってくる重要なファクターだからだ。

僕の人間力の低さは他人に合わせられないことにある。これが現実(リアル)だけならまだしも、インターネットでもそうなのだ。趣味や嗜好がどうしても合致しない。

これは僕がトレンドを追うことをせず(そもそも気力がないのでできず)、懐古主義に重きを置いているのが主な原因なのだと思う。普通の人間は片方の眼で過去を、もう片方で未来を見据えているというのに、僕の眼は何故だか両方過去を見ている。それも、そこばかり凝視している。

そんなわけで、過去に投稿したニコメドも基本的にはニコニコ動画で流行っている楽曲など意にも介さず、自分の好きな楽曲だけで作り続けてきた。

案の定、動画はあまり伸びてくれなかった。中にはニコニコ動画よりYouTubeの方が再生数が多い作品もあり、視聴者層とのギャップを痛感した。当初僕は、この原因をニコメドの主流であるDTMではなく、原曲メドレーとして制作しているからとも考えた。しかし、去年になってそれが決して抜本的な原因ではないことに気づいた(この辺から本題)。

というのも、近年は原曲メドレーでも界隈を中心として視聴者から高い評価を受けているものが多いからだ。特に今回の制作契機となったのは昨年の年末、「メドベントカレンダー2023」でそれぞれ投稿された『ニコニコ動画麒麟児』と『Nico+Shitekinium』である。

それなりに毛色の違いはあれど、僕はこれら2作品が高い評価を受けた要因として以下の4つを抽出した。

 

①疾走感

この中では唯一、僕が元々制作において意識していた事柄である(できるとは言ってない)。所謂「駆け抜ける系」のメドレーにおいては必須とも言えるかも。

ところがこれを出すのにはそれなりの構成力が必要であり、特に原曲メドレーの場合は楽曲への依存度が高めであるからできる構成が限られてくる(他の技術にしてもそうだが)。また、決してBPMが速ければ疾走感があるというわけではない点に留意されたい。

 

②トレンドの楽曲を取り入れる

直近のニコニコ動画のコンテンツはもちろん、直近の邦楽などでもこれは当てはまる。結局のところ視聴者が楽曲を知っているほど親しみやすくなるということである。

またこれは体感だが、②を満たすことは①を満たすことに必然的に繋がっているように思える。というのも、最近の楽曲は一昔前のものと比べると疾走感があるからだ。僕は音楽理論に詳しくないので何とも言えないが、これには丸サ進行や、VOCALOID出身のコンポーザーの楽曲が増えていることに影響しているのではないかと考えている。

他方で、単純明快で「一発屋」の代名詞のようでもあったカノン進行は近年の楽曲にはほとんど見受けられない(参考:2022年のボカロ曲のコード進行を調べたら衝撃の結果に!)。僕はカノンコードが好きで、その辺が楽曲知識をも平成に置いて行かれている原因でもあるのだが、実際のところ今作にカノン進行が出てくるのは『スケッチスイッチ』のところくらいで、他は殆どないはずである。

先述した通り僕はトレンドの楽曲知識が殆どなく、音MAD経由で知るものが一番多いくらいである。しかし何故だか最近のVOCALOIDに関してはそれなりに原曲を知っていたので、今回はボカロ楽曲が全体の4割近くを占めている。他方で御三家繋がりで言うなればアイマスを殆ど使えなかった(僅か5曲で、しかも最近の楽曲と言えば『平行線の美学』のみ)のは悔やまれるところである。

 

③3曲以上の重ね

原曲メドレーというのはどうしてもDTMに比べて必然的に音が嵩張ってしまいがちであり、かつては2曲までしか重ねていないものが構成の大部分を占めていたと記憶している。これはあくまで僕の主観であるが、この既存概念を打ち破ったのは2018年投稿の『Favo s0unds』ではないかと思う。この作者は『Nico+Shitekinium』と同じ人物なのだが、頻繁に3曲以上の重ねを用いてかつ、全く聴き心地の悪い部分がない。当作は原曲メドレーとして唯一「ニコメド10選」において1位を獲得しているくらいなので、僕以外の多くのニコメド作者にも影響を与えたことだろう。

更に、技術を持つ作者が増えたことにより音を加工することが増えた。例えばイコライザーで出力を調整したり、ボーカルを抽出したりといった技法である。特に後者については近年Ultimate Vocal Removerが登場したことによりほとんどの楽曲においてボーカルどころか音域・パーツごとの抽出が可能となった。今作ではそれをふんだんに活用している。また、加工については知識がないので音源監査という形で頼らせてもらった。

 

④Medley-PV

単に元の動画を貼り付けて出典を書いただけでも「Medley-PV」と呼称されることがあるが、それだけでは工夫が足りないように感じた。

何も『ニコってる?!』のようなオーパーツレベルでカオスなPVを作れと言うわけではないが、ある程度楽曲と紐づけたコンテンツを列挙するような動画制作を心掛けた。この辺りは特に『ニコニコ動画麒麟児』を見てみると顕著なので是非視聴して頂きたい。ちなみに上記の②を満たせないとこうした動画構成は非常に困難になってくるので、意識の中ではこの2つは表裏一体の両輪として働きかけていた。

しかしながら、僕は芸術的センスが非常に欠けているため、今作の動画が果たしてどの程度視聴者に訴求できたのかは疑問である。かなり基礎的な動画の技法に関しての知識すらあまりなく、まずもってどこを見て学んだらいいのかが分からないのである。界隈が狭い以上どこを見ても「Medley-PVの作り方講座」なんてものはない。ニコメドの動画制作者とついでに音MAD作者辺りがaviutlのプロジェクトファイルを公開してくれたらいいのに……

 

 

以上4点に重きを置いて、僕は動画制作を始めた。製作期間は実質3週間くらいなので普段と比べて特別時間がかかったというわけではない。しかしそれでも今までやってこなかった多くのことにチャレンジしつつ、より多くのフィードバック・感想を貰いたいという一心で創り上げたので、どうかコメントを貰えれば幸いである。

また、音源監査を快く引き受けてくれた8:51:22 pm氏を始め、空リプで投げた質問に快く回答を頂いたnicomedkey鯖の界隈の方々に深く感謝を申し上げ、記事の締めとする。

 

そして最後に、この動画を某氏に捧ぐ――。

【ポケモンSV】S4構築記事備忘録【not強者】

前置き

タイトルにもある通り『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』のランクマッチシーズン4の構築記事を書いていく。

noteでやれと言われそうだが、生憎向こうでは別の記事を書いているので最近寂しくなってきたはてなのほうに書く。その上はてなで書いているのはプラットフォームの歴と比例するように世代を跨り上位の座にいる古株の強者ばかりなので、検索妨害にならないか不安である。ただ対面構築は分かりやすいので僕以上の初心者には勧めたいかもしれない。

ちなみに構築記事を書くのは人生で初めてだ。僕はレート・ランクマ歴も浅い。BWの頃から乱数調整や三値については把握してたが、何となく気が乗らないのに加えてPWTがいつまでも遊べるほど楽しかったので、対人戦は6世代になってから。

確かORASの頃に眼鏡ファイヤーを軸にして厨ポケでコーティングしつつ、レート1750くらいまで到達したのが最高記録だったと思う。しかしその当時は配信個体の収集を生業にしており、大して対戦数はこなしていなかった。その上7世代はレート自体をやらず、8世代に至ってはそもそもソフトを持っていなかったので、今日の9世代から本格的にランクマをやるようになったとも言えよう。

その割には今回1900越えというそこそこのレートを記録することができたので、備忘録としたかったのが執筆の動機である。加えて備忘録をむざむざ公開するということは致死量の自己顕示欲が含まれているということもである。よしなに。

 

構築解説

 

コンセプト

対面構築→

脳筋

・殴って勝つ

・蘇る

・命を燃やす

 

コンセプトの経緯

1分間という須臾の中ではサイクル戦に必要な「致命的な行動を消しつつ最大限の安定択を選択する」という行為が僕には難しかったので、なるべくこの選択が最小限になるように対面構築に振り切った。

そこで何か強い対面構築を探していたところ、S3で結果を残したシグマ氏の「蘇生ハムツツミ」に行き当たったので、さいきのいのりパーモット+高速高火力アタッカーという形で行こうと決意。

 

シグマ氏の記事では主たる蘇生対象としてテツノツツミを挙げているがハイドロポンプの命中率は50もないので、攻撃面での相性補完も取れてかつ蘇生適正に加え確実性もある眼鏡ハバタクカミを採用。

また現環境で主要となるチョッキアタッカーにはADに厚く振ったヘイラッシャを選出。流行りを見せたカバツキサフゴにそこそこ強くかつ、スカーフサーフゴーを始めとした初手に出してPTの半壊を図ってくる高速特殊アタッカーに優位性を取ることができるのではないかという目論見があった。

他にパーモット+ハバタクカミの3枠目として相性のいいポケモンを考えていたところ、ハバカミの障害となる主要なチョッキ持ちに比較的強く、かつアマガドオーを始めとした有象無象の受けポケを強引に突破できるいのちがけコノヨザルを採用。

更にいのちがけで強引にラス1対面に持って行った際に負けにくいポケモンとしてスタンダードなくろいメガネドドゲザンを採用。またパーモット+ハバタクカミで削り切れなかった際にもスイーパーとしての役割はあるのではないかと推測。

ラスト1枠については最後まで迷ったが、初手にでてくるどくびしマスカーニャに強くかつ、単体でもある程度の抜き性能を持ったポケモンを求めたためSブーストテツノドクガに落ち着いた。

 

 

個体解説

ハバタクカミ

特性:こだいかっせい

性格:おくびょう

持ち物:こだわりメガネ

テラスタイプ:フェアリー

技:ムーンフォース/シャドーボール/サイコショック/ほろびのうた

実数値(努力値)

131(4)-x-75-187(252)-155-205(252+)

 

言わずと知れたパラドックス環境の主役。

上位ではSブースト型やスカーフが多かったようだが、高い火力を押し付けたい対面の基本としてスタンダードなメガネ型と相成った。

故にあまり語ることもないのだが、あまり考えずボタンをポチポチしているだけでいつの間にか相手を半壊させていた、というケースもあるので本当に雑に強い。これに加えて今回はさいきのいのりの適用先にすることで非常に簡単に相手に負担を強いることができた。ただし再起後はセグレイブのこおりのつぶてやドドゲザンのふいうちで落ちるので見極めは必要となる。

また上位勢では拘っていながらクエスパトラに対抗するためにほろびのうたを入れていたケースを見たので採用。基本的にクエスはこれかコノヨザルのいのちがけで対応していた。

S5から四凶の登場により減りそうなクエスに比べ、ハバカミは使い続けられることだろう。

 

 

パーモット

 

特性:てつのこぶし

性格:いじっぱり

持ち物:きあいのタスキ

テラスタイプ:でんき

技:インファイト/でんこうそうげき/マッハパンチ/さいきのいのり

実数値(努力値)

145-183(252+)-91(4)-x-80-157(252)

 

最初はそのさいきのいのりでハバカミを動かす歯車としての役割程度しか期待していなかったが、使ってみたら想像以上に対面性能が高かった。ジバコイルやセグレイブなどチョッキを盾に突っ込んでくるアタッカーや、ヘイラッシャやアーマーガアといった物理受けにも強いのが大きく、ハバカミとの攻撃面の相性補完は想像以上だった。

そして隙あらば再起で復活させるわけだが、普通に自分で殴るか、再起先に託して可能な限り削るかという選択肢を増やしてくれるのは精神的な面でもありがたいところがあった。詳しくは後述するが再起はハバカミ以外にも多く生かすことができる場面があり、非常にポテンシャルを感じるポケモンであった。

シグマ氏はちくでんで運用していたがマッパの火力増強のためてつのこぶしを選択。また性格は最速ガブリアスが減ったこともありいじっぱりに。一時期チョッキガブも流行ったが最速はまずいないだろう。

 

 

ヘイラッシャ

特性:てんねん

性格:いじっぱり

持ち物:とつげきチョッキ

テラスタイプ:じめん

技:じしん/ゆきなだれ/ウェーブタックル/じわれ

実数値(努力値)

227(12)-166(244+)-136(4)-x-115*1.5(236)-57(12)

S...同族意識。上からじわれが打てる。

 

削り枠として非常に重宝した一体。当初は同じADでもあくび搭載でオボンのみを持たせていたのだが、あくびの択が面倒になったのと誘い出された特殊アタッカーをより盤石に葬りたかったこともありチョッキに変更。

構築経緯にも書いた通りスカーフサーフゴーやタスキハバタクカミなど初手に出てくる特殊アタッカーに非常に強く、併せて初手に出すことで相手のペースを乱すことができ数的有利を取ることができた。またジバコイルやスナノケガワなどに対しては地面テラスを切ることで無傷で突破することもできる。相手からすれば可能性を考えたところでむざむざ交代やテラス切りをするのはハイリスクローリターンが予想されるため、このパターンの無償突破の確率は非常に高かった。また物理相手に対してもほぼ確実に1耐えして削りを入れることができるため、遂行速度も申し分ない。

このうち数少ない弱い特殊アタッカーであるテツノツツミへの対抗策としてボディプレスを搭載することも考えたが、やぶれかぶれで打つじわれの30%は無限の可能性を広げてくれるのでそのままにした。

 

コノヨザル

特性:やるき

性格:ようき

持ち物:オボンのみ

テラスタイプ:ほのお

技:ふんどのこぶし/ドレインパンチ/ビルドアップ/いのちがけ

実数値(努力値)

217(252)-136(4)-105(42)-x-110-150(212+)

S...最速サーフゴー抜き。

 

PT一番の功労者。特徴は何といってもいのちがけに尽きる。あまりにもシンプルなゆえ語ることが少ないのが申し訳ないが、火力押し付けに当たって障害になったポケモンをとにかくいのちがけで葬り去る。さらにさいきのいのりで蘇生→即オボン発動→再び命を投げるという何とも心のない役回りをさせてしまった。この安心感は非常に大きく、四凶との相性もいいので型を変えつつも来季も使う気でいる。

とはいえキノコのほうしやあくびを切ることの役割も非常に大きく、テラスを切ることで個人的に苦手なくさわけほうしアラブルタケを完封できるのは非常にありがたかった。その後はまたいのちがけをするわけだが……。

 

 

テツノドクガ

特性:クォークチャージ

性格:おくびょう

持ち物:ブーストエナジー

テラスタイプ:みず

技:ほのおのまい/ヘドロウェーブ/エナジーボール/マジカルシャイン

実数値(努力値)

171(124)-x-95(116)-169(68)-131(4)-170(196+)

HB...特化マスカーニャのはたきおとす+ふいうちを確定耐え、特化カイリューのこだわりハチマキノーマルテラスしんそくを最高乱数切り耐え。

HD....特化ハバタクカミのシャドーボール確定2耐え。

 

最後の加入ながらメイン構築を食っていたほどの素晴らしい活躍をしてくれた一匹。到達した試合を含め1900まで行けたのは彼のお陰と言っても過言ではない。

かなり流行っていた初手のどくびしマスカーニャの対策がいまいち安定しないので調べたところ行き当たった型で、マスカーニャを踏み台にして全抜きをも狙える。加えてマジカルシャインを搭載することで地震を打ちに来るドラゴンタイプに削りを入れるほか、耐久に振ったことで「とにかく広い技範囲で多くの相手に対処が可能」というドクガの特長を非常に生かしていた。水テラスも切り返しの耐性として非常に優秀。またHBゴツメトドロクツキが増えたことでヘイラッシャが対応にしにくくなったため、そこでもマジカルシャインは重宝した。

HBに振ることで行動保証を増やし、かつSブーストをして前抜きを狙うこの型は、ハバタクカミでも同じようなことが行われている。環境も変わるし、まだパラドックスにも開拓の余地はありそうだ。

 

 

ドドゲザン

特性:そうだいしょう

性格:いじっぱり

持ち物:くろいメガネ

テラスタイプ:あく

技:ハサミギロチン/アイアンヘッド/ドゲザン/ふいうち

実数値(努力値)

175-x-205(252+)-141(4)-x-105-102(252)

 

S1から使われ続けている安定と信頼の"詰める"ポケモン。その性能は言うまでもないが、今回のコンセプトではさらにその力を発揮。

つまりはさいきのいのりによってそうだいしょうの火力が増強する。ハバカミ殴る→倒れる→パーモットが蘇生&攻撃→倒れる→ハバカミ再臨……という手順を踏んで可能な限りの削りを入れた後に通常の1.1倍伸びたリーチで削れたポケモンを一掃する。

また自身も再起の対象になることによってもう一度再臨したのちに不意打ちを打ってラス1を撃破して勝つという動きもできた。

さらにいのちがけとの相性も非常によく、ドドゲザンが不利なポケモンをコノヨザルに合わせて葬ることで気兼ねなく暴れる環境を作ることができた。

 

 

終わりに

一応最終順位を載せておく。冒頭とタイトルでも断っているが大したレート・順位ではない。自分にしてはよくやった方だ、程度である。

ただ非常に使いやすい言面構築ではあったと感じているので、今日から始まる四凶環境の指針としたい。



 

 

 

『駆け抜けるアニソンメドレーRespectⅢ』制作の背景と解説(と好きなアニソンの紹介)

※当記事の趣旨上本作を冒頭に挙げておくが、どちらかといえば視聴する前に読むべきかもしれない。無論視聴した後でも何ら問題はない。

……結局作ってしまった。
一身上の都合により暫く個人作を淀む宣言をした前回の作品から1年と経たずして、早くも舞い戻ってきた。

その間にTwitterからの移住を画策したりなど他のことも行ってきたが、とどのつまり再びモチベーションが湧いたのは本家の『駆け抜けるアニソンメドレーⅧ』の影響である。まずはこちらを視聴するべきだろう。

もちろん単純に新作が見られる事実も嬉しいところだが、最も印象に残ったのはこれまでにない構成の自由さである。僕は以前から新しい「駆けアニ」の可能性を考えており、前作の一部分ではハネリズムというか、ジャングルビートというか、とかく使われにくいようなアニソンを起用したりもしてみた。これに加えて今回Ⅷを視聴し、BPMを変えていたりだとか、一致音(いわゆる構成において隣り合う楽曲同士の「メロディが共通している部分」)に囚われすぎないだとか、今までとは違う一面を見せた「駆けアニ」をリスペクトしたいと考え、何度目かの行動に移すこととなった。
そこで思い出したのが、かつて正岡子規が技法に囚われた古今和歌集を嫌い素朴な万葉集を愛した、という逸話である。どんな物事も根源には原点となるもののエッセンスが内在しているのだから、僕自身も同様に原点に立ち返り、今一度自分の「アニメ/アニメソング」におけるアイデンティティとは何か? という部分に向き合うべきだ。これが今回の作品の目的となった。

とはいえコンセプトの都合上、ある程度一致音を意識して活用しなければ本家に準じた構成には仕上がらないと思う。よって重要なのは先述したように囚われすぎないことである。あまりにも一致音のことを考えすぎるとマズローの金槌よろしく最終的な完成を目にする前にバイアスがかかり、却って支離滅裂な構成になりかねない。何事もバランスが大事なのだ。尤もそこが簡単にできれば苦労しないので、構成中は常々苦慮しているのだが。

その渦中で、僕はニコニコメドレーという独自体系をルーブ・ゴールドバーグ・マシンに近いものだと捉えた。駆け抜けの系統であればなおさらのことである。
A地点からB地点までレールを転がるビー玉があったとしよう。この2地点を何の淀みもなくビー玉がまっすぐ転がったとして、確かにそれは作品なのかもしれないが、面白みは皆無に等しい。だからルーブ・ゴールドバーグ・マシンは、ビー玉がB地点に向かうまでの様々な障壁をエンターテインメント性をもって作り上げる。

例えば、先程のレールの左右に洗濯バサミを交互につけてみたとしよう。するとどうだろうか、ビー玉は洗濯バサミの面に沿って転がり、蛇行するような動きを見せる。その動きを視聴者側は目で逐うことによって、思わずビー玉の行方に注目してしまう。

何が言いたいかといえば、これこそニコニコメドレーに通じる面白さではないか、ということである。
最初の楽曲Aから最後の楽曲Bまでを、どのように仕掛けを施しながら繋いでいくか、どのように飽きさせない構成にするか、どのように視聴者が目で逐うようなコンテンツを作れるか? 工夫の余地は数多あるのだ。
そして何よりも途中でビー玉がコースの上を外れてしまうような、構成上の破綻があってはいけない(稀にその破綻をもってエンターテインメントとする作品もあるが、少なくとも駆け抜けでは無縁だと思っている)。そして破綻がないように全体の手綱を握るのはもちろん制作者であり、その塩梅を調節するのがB地点、即ち完成までの過程なのだ。

概ねこんな感じのことを考えながら制作していたので、折角ならと可能な限りの言語化をして、作品解説の前置きとさせて頂く。
なお、繰り返すようだがこの理念は言うだけならタダであり実際に具現化するのはとても難しいものである。故に当作がこの理論の範疇に置かれているのかどうかについては僕自身では判断ができない。そうなると第三者の意見が必要になってくるので、上記を読んでから再び視聴を行い、意見を頂ければこの上なく幸いである。

ざっと構成解説

※楽曲リストを追って読むことを推奨。
スプレッドシートこちらからどうぞ。

001 コバルト
002 Contrail~軌跡~
003 STARGAZER ~星の扉
004 Destin Histoire
005 ルビコン
006 My Dearest

最初の部分。最初の楽曲は自由すぎる故に迷うので時事性のあるものを採用することも多い。よって2022年でトップクラスに好きだった楽曲を最初に置いた。
Aメロから始まっているのも大きな特徴とも言えるが、サビから始まる楽曲でもとりあえず最初のメロディを置くのが始まりには相応しい気がする。
005→006は誰かが気づいたであろう一致音。

001の『コバルト』は上述したように2022年屈指の好きな曲。シリーズ通してアニメも綺麗に完結したが、楽曲も本当によかった。

007 RE: I AM
008 六等星の夜
009 ツキアカリ
010 MY FATE
011 signal

かなりの序盤にして前置きで述べた自由度の影響を最も大きく受けた部分。
BPMも半分になりかなりスローテンポな印象で、果たして駆け抜けているかといえば疑問なのだが、これが当作の持った回答とも言える。
繋ぎに関しても008→009など一致音こそあれどかなり雰囲気で押した感じ。こうしたはっきり言ってしまえば直観的で雑な繋ぎが繰り返し出てくることとなる。

008の『六等星の夜』でAimerを初めて知ったユーザーは多いだろう。

012 Vacancy
013 ワンダーランド
014 Fastest!
015 GATEⅡ ~世界を超えて~
016 解読不能
017 Alicemagic ~TV animation ver.~
018 ニセモノ
019 Rising Hope
020 アツクナレ
019 Rising Hope
021 ドリームトリガー

再びBPMは192に戻る。ここでは『Rising Hope』が2度登場しているが、こうした再登場も今回はかなり多い。直感的ゆえの構成と言える。
016の『解読不能』は『ニコニコ動画流星群』への収録でもお馴染みの曲。これがなければメドレー界隈内の知名度はほぼなかっただろう。

014の『Fastest!』も001同様2022年お気に入りの楽曲。同年は個人的にかなり好みの楽曲(特に秋)が多かったので全体的にも多めに入れている。こうした楽曲を収録できるのも醍醐味だろう。

022 時空旅
023 Love is Here
024 プリズム
025 COLOR
026 逆様ブリッジ
027 FLAT
028 シロツメクサの願い
029 Feel on the wind.

ここまで通して全体的に新しめの楽曲が多かったので、少し古めのものを入れたいと思いV系のアニソンを3連発。022-024はメロディも似ているのだが、うまいこと繋がらなかったので2→4→6小節という形に。
僕の主な趣味の範囲が00年代-10年代前半にも拘らず10年代後半以降の楽曲が多くなってしまう点については、後者の方が恐らく原曲の疾走感やメロディの傾向が『駆けアニ』に適しているからであると考える。特に邦楽にボカロのエッセンスが入ってきたここ最近では顕著なものだ。

028の『シロツメクサの願い』はアニメでは流れていないがイメージソングなので採用。marbleが醸し出すまさにひだまりな雰囲気の楽曲。本家にもそろそろイメージソングやキャラソンの収録があってもいいのにと思う頃合い。

030 サクラキミニエム
031 オリオンをなぞる
032 アメイジング ザ ワールド
033 星の在処。-ホシノアリカ-
034 STAND UP TO THE VICTORY ~トゥ・ザ・ヴィクトリー~
035 ココロニツボミ
036 流れ星☆
037 翼はPleasure Line

全て原キーであり030-034までは4小節ずつと小綺麗にまとまっているパート。何となく似たようなロックナンバーを繋いでいった。ちなみに今回ガンダムシリーズの楽曲は5つある。00が一番好きなのに今まで入れられたことがない。
そして上記の流れが却って単調すぎる気もするので035で雰囲気の転換を図り、036-037でスパンを短くして切った。

037の『翼はPleasure Line』は『ランティス組曲』にも収録されている。作曲はアニソン好きにはお馴染みの上松範康。この楽曲の翌年に『ETERNAL BLAZE』で水樹奈々と共にその名を知らしめることとなる。

038 NEWLOOK
039 Climber's High!
040 fake town baby
041 BLOOD QUEEN
042 経験値上昇中☆

038→039は初代『駆け抜けるアニソンメドレーRespect』の使い回し。他にもいくつか使い回しは登場する。
041→042の繋ぎはかなり強引。041『BLOOD QUEEN』にメロディが似ている楽曲は『微熱S.O.S!!』/『アイドルマスター XENOGLOSSIA OP』、『ときめき♥フォルテッシモ』/『乃木坂春香の秘密』INなどもあるが方向転換を図りたいと思い042で一致音を駆使してBメロを使い転調を図った。

040の『fake town baby』は本家Ⅶにも登場している楽曲。歌詞がいかにもUSGらしいといったところ。

043 コンディション・グリーン ~緊急発進~
044 微かな密かな確かなミライ
045 ハレ晴レユカイ
046 Ring Ring Rainbow!
047 ゆるゆりんりんりんりんりん

042の転調によってキーがFmajに。数年前から思いついていた046→047→048の繋ぎに持っていこうとしたためそこまでの過程が少々強引になった。
カノン進行なのである程度誤魔化しが利くのは救いか。

045の『ハレ晴レユカイ』は言わずと知れたアニメソングを代表する楽曲。2年前のコロナ禍では平野綾杉田智和などによる「お家で全力ハレ晴レユカイ」も公開された。この上ないファンサービスである。

048 solar wind
049 Snow fairy
050 GOOD LUCK MY WAY
051 I、愛、会い
052 CLASSIC
050 GOOD LUCK MY WAY
053 サウンドスケープ
054 君の知らない物語

先述した047→048の繋ぎで再び明るめのバンドアニソンを中心に。
050-054は没案を改良したものでありすんなりつながった。050→053の繋ぎを見るに結局一致音なくして原曲では駆けアニの皮は被れない気がする。
そしてまだ1/3にして『君の知らない物語』が登場する。

048の『solar wind』は爽やかなロックナンバー。シュノーケルは他にもこういった吹き抜けるような楽曲が多く好みである。

054 君の知らない物語
055 それは僕たちの奇跡
056 瞳の中のファーラウェイ
057 リトライ☆ランデヴー
058 カクテル

平場で『君の知らない物語』を繋ぐのに最早違和感を覚えてしまったが、再びカノン進行系統に持っていく。055→056も初代の使い回し。なお056がなく仮に055→057であってもほぼ自然に繋がるようにはできているのだが、後に節目となる100曲目などでの調整を考えあえて2小節ずつにしている。こうした「構成上抜いても問題のない楽曲」を挿入して調節を行っていたりもする。

058の『カクテル』は寂寥感のある曲。アニメ、ひいては原作を視聴後に聴くとしみじみとする。なお同原作者の城平京による『虚構推理』は現在2期が絶賛放送中である。こちらも是非。

059 ライムツリー
060 情報
061 Fate of the World
062 ファティマ
063 Get along
064 メロスのように -LONELY WAY-
065 Romantic Chaser

058で雰囲気を変えてマイナーコード寄りにシフト。その058→060はどれも4小節目に結構なブランクがあり、疾走感という点では劣るものの統一感が出ているので採用とした。
061は今回のアイマス枠。

064の『メロスのように -LONELY WAY-』は今回の収録の中では最古の楽曲。曲は知らずともタイトルを聴いたことがあるユーザーもいるのではないだろうか。余談だがBメロが『君のこの声が届きますように』/『金色のガッシュベル!!』OPのサビとほぼ同じメロディをしているので再利用する案もあった。

066 Edelweiss
067 The Everlasting Guilty Crown
068 Love Destiny
069 サヨナラの惑星
070 HEY YOU!! ~失ってはならないもの~
071 Agape

何となく僕の中での既視感もありすんなり決まった部分。066→067みたいな2・6小節の構成が今回は特に多い。
067→068は本家Ⅱ駆け合作Ⅱのリスペクト。また068→069は駆け合作10thの使い回し。

071の『Agape』は言わずと知れた名曲。SONY主催の平成アニソン大賞においてかの『残酷な天使のテーゼ』と共に大賞を受賞している。アニメを見ても1話と最終話に挿入歌として流れるので印象深い。岡崎律子氏よ、安らかに。


072 1/6の夢旅人2002
073 強ing!Going!My Soul!!
074 輝く世界の魔法
075 アカシア
076 カワルミライ
077 星の海の記憶
078 Dream Hunter
004 Destin Histoire
079 愛情のカタマリ
078 Dream Hunter

半分に差し掛かり「あの楽曲を入れたかった」という構成が特に見え隠れしているパート。『カワルミライ』『Destin Histoire』は最早僕の構成においても精神安定剤となっている。
また075→076の繋ぎは一致音でないにも関わらず音が重なっているが、これもⅧの影響を受けた部分である。ある種の妥協点と言えなくもないが。
078~は没案の使い回し。

そして折角なので3曲分くらいの紹介を。
072の『1/6の夢旅人2002』はその筋には有名な『水曜どうでしょう』のOPテーマ。2019年以降に『ゆるキャン△』とのコラボによりこの楽曲を使用したMVが公開されたため、イメージソングとして採用。
ちょうど半分に位置する075の『アカシア』はYouTubeに公開された『ポケットモンスター』シリーズのアニメーションPV『GOTCHA!』の主題歌。ポケモンが好きで見ていない人などいないだろう。
077の『星の海の記憶』は故・長瀬麻奈が遺した歌。僕はあまりアイドルアニメに詳しくないのだがアイプラは何となく設定に惹かれて視聴した。しかしよもや声優までもが彼女をなぞることになるとはなんという皮肉だろうか。惜しむばかりである。

080 閃きハートビート
081 リトルソルジャー
082 Mysterious
083 Cycle
084 かがやきサマーデイズ
085 エチュード
086 The Key
087 モノクローム
088 CROSS GAME
089 Take The Wave
090 風の日
089 Take The Wave
091 極限Dreamer

080-081は先述した2・6小節の繋ぎ。
081-084は原曲の印象がかなり違うのだが一致音で強引に繋いでいるため展開がかなりしっちゃかめっちゃかになっている。この辺りは打ち込みだったらどうなるのだろうか。
085→086の展開は本家Ⅷの051→052のリスペクト。みゆはんの曲はこれと『ぼくのフレンド』しか知らないのだけれど、アニタイも実質この2曲しかないのは意外だった。
086-091までは全部バンドアニソン。疾走感を出せるので毎回助けられている。なお089-091は没案の使い回し。個人的に気に入っていたので何とか取り入れることができてよかった。

084の『かがやきサマーデイズ』は2022年夏にYouTubeに公開された『ブルーアーカイブ』のショートアニメにおけるEDテーマ。正式なアニメ化も発表され、今最も熱いコンテンツだと信じて憚らない。


092 X.U.
093 流星
094 約束
095 逢いたいから
096 LOVE SICK
097 changes
098 デイドリーム ビリーヴァー
099 * ~アスタリスク

100曲目へ向かうパート。
092-096は適当に一致音を使いつつ繋ぎ。
097-099までは正直なところかなり雑になってしまった。098の時点でラップ風味のパートがORANGE RANGE繋がりで099と結びつき何となく繋いだ訳だが、果たして打ち込みだと再現できるのかどうか。また99曲目ということである程度知名度の高い楽曲を使用した。

098の『デイドリーム ビリーヴァー』は『コードギアス』シリーズの15周年に当たり、同作品を楽曲面から支えてきたFLOWとORANGE RANGEによる豪華コラボユニットの歌唱。
折角の豪華コラボなのにOP映像が手抜きで残念とか言われていた気がするが、確かに再放送版ということを踏まえても解らないでもない。

100 カラカラ
101 ロケットビート
102 青空モーニンググローリー
103 さくら咲く青い春
104 リトルチャームファング
105 冒険でしょでしょ?
106 wild vision
107 MISTY HEARTBREAK
108 ひかりひとつひらり
109 Dream☆Wing
110 Little Primrose
111 めてお☆いんぱくと

100曲目に到達。その節目には何の楽曲を入れるかも迷ったが、知名度・時事性共に抜群な結束バンドを採用した。
103-106辺りも先に述べた081-084同様、かなり一致音を強引に駆使したため展開が変わる。ちなみに105→106の繋ぎは105にE♮がなければ4音一致していたりもした。だから何だという話だが。
そして107から直接112に行くには少々違和感があったのでクッションとして108→111のパートを取り入れた。111に関しては初代『駆け抜けるアニソンメドレーRespect』でも同様の部分を使っているので、キーの切り替えをしやすいと言える。

102の『青空モーニンググローリー』などなど『One Room』シリーズにはとても好みの楽曲が多い。中でも図抜けて『サーチライトと月灯り』が絵に描いたようなエモサウンドで気に入っている。今回は採用していないが、薦めたい枠として置いておく。

112 キミガタメ
113 イチズ
114 WHITE REFLECTION
115 Faze to love
116 STILL TIME
117 純白サンクチュアリィ

キーはG(Em)に。ここから最終パートまでほぼすべての部分はこのキーとなる。この辺りも実は没案をまとめたもの。最初は112-113の辺りに『Vermillion』/『ぼくらの』EDがあったが削っている。
また116のようにキーが±5になってしまう楽曲も取り入れており、原曲という都合上聴き苦しいところではあるが、フォルマントを弄るなどしてどうにか対応している。

117の『純白サンクチュアリィ』はあまり知られていないが茅原実里の1枚目のシングル。このアニメ『キディ・ガーランド』は前作の『キディ・グレイド』を引き継いだ世界が舞台であり、2009年には正式にアニメ化もされている。だが実際のアニメ化はこのパイロット版とは異なりかなりギャグに振られていた印象。
なお内田彩の初主演作品でもある。

118 今日に恋色
119 MonStAR
120 Princess Rose
121 木の芽風
122 dawn
123 面影ワープ
124 The Misfit Go
125 Shiny tale
126 紅蓮華

118→121は4×4小節で比較的穏やかに繋ぎ、122から一気に加速していく。
そして落としとなる126は1小節にも満たずして切り替わる。実はこうした構成にも意図があって、『紅蓮華』のような殿堂入り級のアニソンを「チョイ役」として出すのはパートが引き締まるのではないかという私見を持っているからである。
本家で言えばの『ETERNAL BLAZE』のような使い方のイメージだ。

119の『MonStAR』は平野綾の6枚目のシングル。懐かしの『アニたま』枠や『もえがく★5』のEDとして使用されたわけだが、この『もえがく★5』という作品、前半はアニメなのだが後半はオムニバス形式の実写パートとなっている。というのも、「5か国語を学ぶ」というエデュテインメントを含めた番組でもあるため、実写パートでは平野綾が実際に外国語をレクチャーされるというくだりがあるのだ。

127 恋の魔法
128 Bright way
129 曖昧さ、幸福論
130 ダイキライは恋のはじまり

4曲分だけ挟まれるCmajのパート。
暫定的な全体の流れが完成した時に4曲ほど余らしていたため、好みの曲を漁りながら即興で繋いだためにこうなっている。その割にはそこそこうまく繋げたので差し込めてよかったかなといったところ。

129の『曖昧さ、幸福論』はこれまた2022年の好きな楽曲。僕の好みの傾向にあるアニソンの中でロックバンドのような楽曲はこれからも絶えることはないのだろうが、こうした一昔前を匂わせる、ノスタルジーなものは潰えていく運命にあるかもしれないと位置付けている。
130の『ダイキライは恋のはじまり』は『ハヤテのごとく!』のヒロインである桂ヒナギクの歌う曲。僕はこの作品を愛して止まず、同作の楽曲をこれまで数多く自分の作品に取り込んできたが、中でもヒナギクの楽曲は4度も出している(他3つは『本日、満開ワタシ色!』『Steppin'』『春ULALA♡LOVEよ来い!!!』)。
何がとは言わないが、何かと救われているのだ。

131 月導 -Tsukishirube-
132 I MUST LIVE
133 courage
134 ハナノイロ
135 ディアブレイブ
136 Strike Party!!!
137 REBEL FLAG
138 ISOtone
139 消えないで…

いよいよパートは最終盤へ。よって畳みかけるような構成をなるべくして意識した。
137の『REBEL FLAG』は本家の採用こそないものの何故か僕のようなリスペクトのアニソンメドレーで非常によく見かける楽曲。かくいう僕も使ったわけだが、組み込みやすいのだろうか。

132の『I MUST LIVE』は90年代のOVAのEDという何ともマイナーな楽曲だが、歌っているのは『Little my star』/『魔界天使ジブリール -episode2-』OPの歌唱やFunta名義での作曲活動でもおなじみのUCO(U)である。かなりキャリア初期のものであり、ジュディマリの影響が見て取れるのではないかと勝手に思っている。
ちなみに後に椎名へきるが『live to love -もう少し早く逢えたなら-』というタイトルでリアレンジを披露しているらしい。

140 少年少女
141 宇宙で恋は☆るるんルーン
142 ヒロメネス
143 ここから先は歌にならない
144 -僕はここにいる-

いよいよ『君の知らない物語』のシルエットが見えてくるようなラストスパートに差し掛かる。終盤感を醸し出す楽曲として140を採用。この辺りになると曲数管理がカツカツになってくるので、言い訳すると141→142の繋ぎはかなり雑になってしまった。その分142→144は1曲のスパンを長めにとっている。

余談だが、僕の中で10年代後半のアニメソングを特徴づける事例として、サビが8×2ではなく16×2小節でできている楽曲が増加したというものがある。例えば当作で言えば142と143の楽曲がそうで、他にも有名どころでは『青空Jumping Heart』/『ラブライブ!サンシャイン!!』OP、『ボタン』/『ReLIFE』OP、『らしさ』/『ばらかもん』OPなどがある。
これにより楽曲を大きく展開することが可能となり、構成にもまた新たな味が出てくるというものだが、今回はその142→143を8小節ずつで使うに留まった。
どうして突然流行りだしたのかは依然不明だし、そもそも調べてもあまり触れている人を見かけない。よって個人的な結論を絞り出すのであれば、堀江晶太の影響が大きいのだと思う。

そして140の『少年少女』は僕が2021年のアニソンで最も気に入った楽曲。
銀杏BOYZ初のアニメタイアップということでも注目されたが、見事なまでにジュブナイルという実体のないものを歌いあげており、アニメの引きと相俟って強く印象に残る楽曲となった。


054 君の知らない物語

145 Shout Baby
146 ノーザンライツ
147 Unnamed World
148 光のシルエット
149 さよならのゆくえ
150 小さきもの
Fin. 君の知らない物語

最後のパート。
お馴染み『君の知らない物語』は今作では延べ3度登場することとなっており、これは恐らく本家でも類を見ない。単純に構成力不足と言える。
そもそも今回は『君の知らない物語』で終わらない構成を考えてみよう、とだいぶ序盤に意気込んだのだが、いくつか考えるうちに結局この曲が一番収まりがいいと結論付け、平常運転の踏襲となった。最早『君の知らない物語』以外で終わる構成を考えられないのである。

その分150曲目にはある程度格といったらおかしいだろうが、最後に相応しい楽曲を入れたいと考え、『小さきもの』を採用した。一致音もあるのでちょうどいいと思う。

さて、ここまで非常にざっくりとした形で構成上の背景を可能な限り言語化してきたわけだが、参考にするユーザーは皆無に等しいだろうし、実際そうでも構わない。
ただ一つ願うことがあるとすれば、ここに紹介した楽曲を聴いてほしいということのみだ。

諸君らのよいミュージックライフを願っている。

原点に返ってあまり知られてなさそうなポケモンの無駄知識を紹介していく

・過去に「みんはや」の企画で出したものを中心に
・あまり見かけないものを独断と偏見で選出
・必ずしも公式声明が出ているわけではなく、あくまでネットロアに近い推測によるものも多い
・基本的にポケモン関連なら何でもあり

 

1.道路の号数に欠番がある理由

カントージョウトホウエンシンオウと国内をモデルにした地方は、今のところ49-100、135-200番道路/水道が存在しない。
「100」という区切りが良い数字がないことも相まって、どうしてここが欠番だったのか疑問に思ったプレイヤーも多いのではないだろうか。

これは恐らく、現実の日本の国道に即しているものだと考えられる。そう、実は日本の国道は59-100号が現在欠番となっているのだ。
では59-100号が欠番なのかという理由については、かつて国道が「一級国道」「二級国道」に等級化されていた歴史に端を発する。現在に繋がる道路法が制定された1952年は前述の2種に道路の種類が分かれており、国土的に重要なものは一級、一級から枝分かれしたものを二級と呼んでいたようである。

ところが、当時はそれぞれの道路費用は国ではなく都道府県が負担することとなっていたため、財政的な困窮からなかなか敷設が進まなかった。そこで、国が一括で管理するようになり、現在の「一般国道」と呼ばれる1種類の規格になったのである。そしてその時、将来の一級国道の敷設を見越して番号として割り振られる予定だった58-100号が空白となったのである(なお58号のみは沖縄が本土復帰の際に新たに敷設された)。二級国道は101号からと規定されていたからだ。

ちなみにポケモンの地方になくて現実の日本にはある49-100、135-200番については、未だ舞台となっていない東北・中国・四国の国道に数字がちらほらと見られる(画像参照)。いつの日か再び国内がモデルとなったポケモンが出た時に新しく数字は埋まるのだろうか。

加えてここから推察されるものとして、イッシュ地方が1番道路から振り直されたのは既存の枠組みを取っ払う画期的な試みを意識したと同時に、モチーフになった国が変わったこともあるのかもしれない。

※参考 『日本の道路122万キロ大研究』/平沼義之

 

 

2.タモリはタル

タモリはタルは、代表作に『ロボットポンコッツ』などがある漫画家。『王ドロボウJING』などで有名な熊倉裕一のアシスタント経験があり、彼の影響を色濃く受けている(熊倉先生復帰してくれ)。
そんな彼、実はポケモンに関わった経験があるのだ。BBSが既に存在していたので知っている人も多いかもしれないが。

その作品とは2014年に公開された「本当は怖い?ポケモン」。
ハロウィンを意識して制作されたものと思われ、ゴーストタイプのポケモンが多く取り扱われており、とりわけホラー漫画家として名高い伊藤潤二とのコラボでも話題となった。
そんな最中で彼はサイトの手引きを務める「オカルトマニアのヒトミ」のイラストを担当した。

ここからが問題なのだが、彼はこのイラスト提供が発端となって「オカルトマニア」のキャラデザを考案したと勘違いされたことがある。それだけならまあよくあるネットのデマなのだが、それ以外にも別の理由があったように思えてならない。

それは彼が非常にグラマラスな、所謂「超乳」「奇乳」の女性キャラを描くからである。先述の『ロボットポンコッツ』は掲載紙では異例となる6年という長期間に渡り連載されたのだが、初期は普通の体形だったのに、徐々に人体造形を逸脱するような描写となっていった。これはある意味彼の代名詞でもあり、ググれば"そういった"キャラの画像が出てくるほどだ。

そしてオカルトマニアと言えば、何かとフウジョタウンのミルク売りのせいで巨乳のキャラ付けがされがちである。この2つの偶然が重なってタモリはタル=オカルトマニアのデザインという図式が成立してしまったのではないだろうか? と思うのだ。
ちなみに当該サイトの「オカルトマニアのヒトミ」が巨乳かと言われると画像に示した通り全然そんなことはなく、公式絵に即したものであり、彼がデザイナーという可能性は低いとわかる。

結局のところ実際に誰がオカルトマニアのデザインを担当したのかは定かではないが、普通に考えたら杉森健辺りではないかと思う。とにかく、作者の特徴とポケモンキャラのイメージが偶然合わさってしまった滑稽なデマというのが面白いのではないかと思うのだが、いかがだろうか。

タモリはタルデザインのオカルトマニアのヒトミ」

 

3.ポケモンの名がついた生き物

様々な実在の生物・モノ・概念がモチーフとなって生み出された不思議な不思議な生き物・ポケットモンスター。しかし時代を経てその知名度が世界規模になると同時に、ついに実在の生物に「逆輸入」されたものが存在する。ここでは中でも有名となったものを3種類ほど抜粋して紹介する。

①Binburrum articuno/Binburrum moltres/Binburrum zapdos
1年半ほど前に話題となったので覚えている人も多いかもしれない。articuno=フリーザー、moltres=ファイヤー、zapdos=サンダーということで、初代三鳥の名前がついたアカハネムシクイ(Binburrum)の一種だそうだ。
イースタン・ニュー・メキシコ大学の昆虫学の教授Darren Pollock博士と、オーストラリア国立大学の博士課程のYun Hsiao氏が発見。「新種の命名は被りがちだから、今まで誰もつけていないような名前にしたい」という理由によるものだそうだ。もちろん、同氏がポケモンのファンだということも挙げられる。

ピカチュリン
生き物ではなく細胞。
2008年、大阪バイオサイエンス研究所の古川貴久らの研究チームは、マウスから生命の動体視力に関与すると考えられている細胞を発見し「ピカチュリン」と名付けた。恐らく動体視力が素早い動きを連想させるからだろう(マウスから発見したのは多分関係がない)。
この細胞はヒトはもちろん、イヌやネコといった動物にも存在すると考えられており、将来的には網膜異常の解明にも繋がるという。

ピカチュウウミウシ
ポケモンが由来となった生物」と聞いて恐らく真っ先に思い浮かぶのはこれではないだろうか。様々な体色を持つことからダイバーに人気の高いウミウシだが、とりわけその名で多くに親しまれ、ウミウシを目的としたダイビングブームのきっかけになったとされている。しかしこれが記載されたのは1884年と非常に古く、ポケモンが生まれる1世紀以上前のことである。

またピカチュウウミウシはあくまで通称であり、正式な和名は「ウデフリツノザヤウミウシ」という。ダイバーが発見し勝手につけた名前がかなり浸透しているケースがウミウシには多いようだ。しかし学名と違って和名は通称で浸透しても何ら問題がない※、とのことである。

※参考
https://ajoa.exblog.jp/26671991/

 

左からBinburrum articuno/Binburrum moltres/Binburrum zapdos

 

 

 

4.BWに施された割れ対策

ポケモンBWの発売は2010年9月18日。当時はまさにDSの全盛期とも言えるべき時代であり、マジコンなどを用いた不正な無料プレイ、所謂「割れ」が行われた全盛期であった。当時はSNSも普及しておらずゲーム板にはゲーハー達が集い、日夜割れに対する情報交換を行っていたほどである。諸君らの中にもマジコンでデータを吸い出したり、或いはコードフリークでチートをやり放題していたプレイヤーは多いのではないだろうか。

しかしゲーム会社がこの事態を黙って見ているわけがない。ファミコン時代からそうであったように、様々な割れ対策を施した。BWもその一つである。
具体的には、経験値がもらえないというもの。普通DSのポケモンのソフトには通信交換などに用いる赤外線機能が常備されているのだが、端末に依存しないマジコンには存在しない。その差異を利用して不正検知が行われる。
当然経験値がもらえないのだからゲームは進行できないに等しい。こうしてゲハ板の住人を(いい意味で)発狂させた対策であったが、残念ながら恐らく現在は我でも普通にプレイが可能となってしまっている。3DSの改造の際にもよく見られた現象だが、結局こうしたものは企業側とクラッカー側のいたちごっこなのである。

なおBWが発売された2010年には著作権が改正され、割れこと「違法ダウンロード」が明確な法律の定義によって違法と定められた年でもある。にも関わらずこのような状況下にあり、有料コンテンツが増えた現在でもあらゆるものが割られてしまい、Winnyの時代から進歩がないのは痛ましい限りである。

なお先述したようにポケモン以外にも多種多様な対策が行われており、アニオタwikiにはそれが載っているので目を通してみるとなかなかに面白い。個人的にはリアルタイムでTwitterで見た『Angel Beats!』のゲーム版の割れ対策がなかなか痛快だった。

w.atwiki.jp

 

 

5.アニポケでしか見ない歌手の実情

放送から25年以上が経過しているアニポケシリーズ。その長寿っぷりに等しく数々のアーティストによってOP,EDが歌われアニメを彩らせてきた。しかしその中にはポケモン以外で名前を聞いたことがない人物もいるのではないだろうか? そうしたアーティストのことを簡単に調べてみたので、何人か情報を掲載する(カッコ内は代表曲)。ほぼDP。


①可名(『ポケッターリ・モンスターリ』)
本業は女優。可名の他に名義が鴻口可南、KANA、太田衣美など多く存在するが、本名は太田絵美(この名義での出演も有)。
主に端役として『夜王 ~YAOH~』や『警視庁捜査一課9係』などに出演、またアニメ『Dr.リンにきいてみて!』『満月をさがして』では声優も担当した。
2008年を最後に引退状態にあるようだ。


②江崎とし子(『そこに空があるから』)
シンガーソングライターとして活動するが、どちらかといえばコーラスやプロデュースに回ることが多い。あきよしふみえ、奥井亜紀と組んだ「BW合唱団」でもコーラスが主である。
参加した主な楽曲には中島美嘉の『Shadows of you』、鬼束ちひろの『インソムニア』など有名曲も。
プロデューサーとしては中孝介などを手掛け、江崎が手掛けた彼の代表曲『夏夕空』はアニメ『夏目友人帳』のEDテーマである。


③高屋亜希那(『バトルフロンティア』)
AG屈指の名曲は彼女のパワーボイスがあってこそだが、活動についてはあまり情報がない。
一応彼女について調べたブログもあったが、なんだかややこしいので丸投げ。少なくともふじのほのかは天てれ戦士なので違うだろう(彼女の曲も知っているが声質が明らかに違う)。

『バトルフロンティア』を歌った高屋亜希那さんを調べてみた! - 雑記


加えて確か昔調べた時プリキュアに参加していた記憶があったがこれは確かなようだ。『スイートプリキュア♪』のサントラにある『セイレーンの歌』を歌っている。

 

④あきよしふみえ(『Together』)
恐らくはこの話題でで一番最初に名前が出てきそうな歌手。かつてはロッカフラグースというバンドのボーカルをしていたが、2007年に解散(2017年に再結成)しソロ活動へと移る。ダイパの曲を多く歌ったのはこの時期に該当すると考えてよいだろう。
ちなみに田村直美も同様にPEARLというバンドのボーカルからソロ活動を始め、ポケモンの楽曲や『ゆずれない願い』などでヒットを記録している。
また作詞家としては小倉唯石原夏織からなるゆいかおりの2枚目のシングルに収録された『VIVIVID PARTY!』などを手掛けた。

 

⑤グリン(『君のそばで ~ヒカリのテーマ~』)
現在の歌手名義は「LOVE」。彼女もまたバンドのボーカルからソロプロジェクトを始めた歌手である。
布袋寅泰の作品などに参加経験がある。
10年代前半には地方ライブを精力的に行っていたようだ。


⑥MADOKA.(『君の胸にLaLaLa』)
こちらも大変情報が少ない。同名義で同じく歌手であるモノマネ芸人コロッケの娘とは別人。かつてはユニット「カナリアン・ウィード」で活動していたようだ。
ちなみに彼女、『君の胸にLaLaLa』の前に水の都の護神の挿入歌『SECRET GARDEN』も歌っている。こちらも名曲なので是非。だがそれ以前と以後の歌手活動情報が皆無に等しく、2002年から8年ものブランクを開けて再び1曲だけ歌うという一風珍しい状況となっている。
このことから察するに、恐らく本業はコーラスメインだと思われる。

 

⑦歌奈子(『あしたはきっと』)

現在の名義はcanaco。
子役時代にはNHK教育の『さわやか三組』にレギュラー出演もしていた。
ポケモン以外の活動では、同じ事務所の福山芳樹の手引きであかべぇそふとつぅのアダルトゲーム『置き場がないっ!』のEDテーマも歌っている。
彼女以外で国民的アニメとアダルトゲームの曲を両方歌ったのは『夢をかなえてドラえもん』で有名なmao(Duca)くらいではないだろうか。

 

6.くれぐれもデマに惑わされないよう

2か月ほど前、とあるbotのツイートがバズった。その内容は画像の通り。
アニポケの登場人物は実はこんな本名なのだ、というものだ。

……だが結論から言うと嘘乙の極みである。
これはソニックというユーザーが作った二次創作『ポケットモンスター小説版』の設定の名前。正式な時期は定かではないが、サイトのUIに加え最新話でも初代のポケモンしか登場しておらず、プロローグではポケモンのことを「携帯獣」と言っている(本体がゲームボーイであったことからそう呼ばれた)ことから察して無印の頃に作られた古い二次創作ではないかと推測される。

masapoke.sakura.ne.jp


繰り返すがこの設定は二次創作である。そもそもこのbot自体2013年頃から放置されているアフィなので決して情報を真に受けないように。こんなデマが万単位でバズっていることにインターネットの片隅で未来を憂う。

貼る価値もないのだが、嘘と証明するために

 

 

7.あの場所で拾えるもの

ポケモン本編には様々な場所に道具が落ちている。そしてRPG全般にはよくあることだが、特定のダンジョンにはその場所を象徴する道具が落ちているものもある。今回はそんな中から僕が印象に残ったものを2つ。

①アカギの部屋にするどいツメ
トバリシティにある「ギンガだんアジト」の4階にあるアカギの部屋。アカギとバトルを行い、終わり際にはマスターボールも貰える重要なポイントだが、実はその右側のフロアにはダウジングマシンで調べるとするどいツメが落ちている。アカギの手持ちにいるニューラをマニューラに進化させるために必要となるアイテムだ。
なお、同様にギンガ団そうこの内部にも通常の形でやみのいしが落ちているが、これも同じくアカギの手持ちであるヤミカラスドンカラスに進化させるためのアイテムである。
こうしたところにゲーフリの遊び心が見て取れるだろう。

②前作主人公の部屋におうじゃのしるし
これは何回か「鳥肌が立った」と言いふらしていたりする。
BW2の特徴の1つである「おもいでリンク」を使用することによって、前作主人公にまつわる様々なイベントが起こるがこれもそのうちの1つだ。
あまり語ることはない。ただ、震えた。
やはりBW2の「2年後」ってシステムは効果的な手法だと考えているゆえ、他の作品にも流用してほしいと思う今日この頃。

 

 

 

 

8.誰もが知っているBGMのタイトル

ポケモンで『連れて行く』と聞いて何のことかわかるプレイヤーは少ないだろう。BGMのタイトルだ、と言われても恐らく知らなければピンとこない。

だがそのBGMを聴けば本編をプレイしたことがあるなら誰もが知っている一"聴"瞭然のメロディが流れるはずだ。もし知らないのであれば以下のURLから聴いて頂きたい。

www.nicovideo.jp
そう、ストーリーのほぼ最初の方、主人公がチュートリアルや手引きを受けるときに必ず流れるあのBGMだ。本編においては確か現在唯一の皆勤賞となっているBGMなのである。
「プレイしていれば誰もが聴いたことあるはずなのに、タイトルの知名度が低い」という点では右に出るものはないと思っている。

 

 

9.サカキがペルシアンを連れている理由をメタ的に考える

サカキのポケモン、と言えばペルシアンを思い浮かべるプレイヤーが多いのではないだろうか。しかしなぜペルシアンを連れているのか? それは物語におけるある種のレッテルにヒントがあるかもしれない。

サカキに限らず、どうも悪のボスというのは猫を抱いて膝の上に乗せがちである。なんとなく気品漂う崇高な雰囲気が出るからか、はたまたギャップを狙っているのかわからないが、ある種組織のボスの共通イメージとしてかようなものがあるといっていい。

それを知らしめたのがお馴染み007シリーズの2作目『ロシアより愛をこめて』だという。主人公ジェームズ・ボンドの宿敵エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドは常に白いペルシャ猫を抱きかかえており、これが決定的なイメージとなった。尤も2作目のうちはブロフェルドが顔を見せることはなく、3作目の『007は二度死ぬ』から顔を見せることになるのだが。

ペルシャ猫ということを考えても、この種がモデルとなったペルシアンを抱えているサカキはブロフェルドに端を発したオマージュと言ってもいいのではないだろうか?

ちなみにこのペルシアンの声優、アニメ版ではサトシ役でお馴染み松本梨香が務めている。このことは2002年の『ポケモンサイドストーリー』まで明らかになることがなかった。

 

ブロフェルドの猫

サカキのペルシアン



10.バリコオルとチャップリン

映画からと思われる元ネタをもう一つ。

剣盾から新たに登場したバリヤードの進化系、バリコオル。何となく察した人も多いだろうが、このポケモンの元ネタはあらゆる意味でチャールズ・チャップリンと考えてよいだろう。ステッキを持っている、イギリスの出身である、コメディアンポケモンである……などバリコオルが彼を意識しているのは火を見るよりも明らかだが、さらに深堀りしてみる。

フォーカスしたいのは、何故こおりタイプを持っているかということだ。何の意味もなく付与されたのだとしたらあまりにも突飛すぎる。だからこれもやはり、チャップリンに元ネタがあるのではないだろうか。

『黄金狂時代』という彼の代表作がある。飢えや寒さといったハードな話題を、まさしくチャップリンといった諧謔的かつ風刺をこめた描写を用いることでエンターテインメントに昇華させた当作は傑作と名高い。
その中の代表的なシーンに、両手に持ったフォークにロールパンを刺して足に見立て、タップダンスを披露するシーンがある。
これこそまさしくバリコオルにこおりタイプが付与された元ネタではないだろうか。

先程飢えや寒さといったが、その通りこの映画の舞台は雪山の中。こおりタイプがつくのも辻褄が合う。加えてチャップリンの代名詞ともいえる「タップダンス」は、バリコオルの図鑑説明にも組み込まれるほどの得意技だ。

バリコオルの元ネタはチャップリン、それも『黄金狂時代』にあるのではないだろうか。

 

バリコオルの元ネタと思しき『黄金狂時代』の一幕

 

 

11.初代ポケモンウルトラマンの深い関わり(カイロス/ゴース/パルシェン)

初代から登場するご存じカイロス。両側にハサミがあること、カブトムシをモチーフとしたヘラクロスのライバル的扱いであるということ、そして何より分類が「くわがたポケモン」であることからモチーフがクワガタムシなのは火を見るより明らかである。

しかしこのカイロス、これだけクワガタ要素を押し出しているにも関わらずアリジゴクがモチーフではないかとも言われる。一体どういうことなのか?

ここでウルトラマンシリーズの登場である。実ゲーフリの社員にはウルトラマンファンがいるのではないか、という推測が立っているのだ。
例えばこれらの初代ポケモンの図鑑説明なんかはそれを裏付ける。

ゴース
「うすい ガスじょうの せいめいたい。ガスに つつまれると インドぞうも 2びょうで たおれる。」

パルシェン
「カラが ひじょうに かたく ナパームだんでも こわせない。こうげきするときだけ ひらく。」

初代の図鑑説明において度々特徴的な比喩として挙げられるこの文章。実はこれらにもウルトラマンに端を発した元ネタが存在する。
それが1970年に発行された美研の『ウルトラ怪獣図鑑』だ。半世紀近く前の特撮ブームに欠かせないのが図鑑である。新しい怪獣が出るたびに身長、体重、能力などが紹介され、中でも弱点なんかは今でもたびたび話題に上がる特徴的な要素である。
そうしたもののうちの一つ『ウルトラ怪獣図鑑』に登場するとある怪獣に、以下のような説明がある。これこそがそのものずばりの元ネタであり、田尻智も参考にしたことを明言している。

毒ガス怪獣ケムラー
インド象でも三秒で死んでしまう。」

地底怪獣テレスドン
「ナパーム弾をうちこまれても平気。」

 

さて、話をカイロスに戻そう。
ウルトラマンアントラーという怪獣が登場する。見ての通りクワガタにしか見えないが、「アント」という名前からも分かる通りアリジゴクの怪獣なのである。その見間違えようたるや、作中でも「クワガタの化け物」とすら言われていたほどだ。
つまり、これこそがカイロス=アリジゴク説の元ネタではないかと考えられているのである。

ポケットモンスターウルトラ怪獣の血を引いていると言っても過言ではないだろう。

 

モチーフとなったという裏付けも取れている

アントラーの説明

 

 

12.酷評された主題歌と幻の主題歌

1999年公開の映画『幻のポケモン ルギア爆誕』をご存じだろう。海を大きな舞台にした豪胆ながらも含みのあるシナリオや描写は今もなお評価が高い。ちなみに「爆誕」という言葉を生んだのはこの映画と言われているが、厳密には間違いである。元より『爆球連発!!スーパービーダマン』など、コロコロを主体に「爆〇」という単語が頻繁に使われており、「爆誕」もルギア以前に使われていたようだ。

それはさておき、当作の主題歌は安室奈美恵が担当している。代表曲『CAN YOU CELEBRATE?』のリリースから僅か2年、当時人気絶頂期にあった彼は90年代小室ファミリー最後の象徴と言ってもいい。もちろんこの主題歌『toi et moi』(トワ・エ・モワ)も小室哲哉がプロデュースする盤石な形で作られた。

ところが、である。
同映画の脚本を担当した故・首藤剛志はこの楽曲を良しとしなかった。彼が亡くなる僅か1年前、掲載されたインタビュー記事には
「何を言いたいのか分からない聞き取りにくい歌詞と、うんざりするほど聞きなれたオリジナリティのないポップ調の曲が、まるで作品内容にあっていない。おそらく、アニメ脚本どころか『ポケモン』がどんなゲームかすら知らずに作られた曲なのだろう。10年たった今も、聞くとがっかりする」(一部抜粋、詳細は以下のリンクへ)

www.style.fm


と極めてボロボロにこき下ろしている。確かに前作の『風といっしょに』が素晴らしい曲なのも相まって、それと比べてしまえば『toi et moi』が当時のJ-POPの象徴的な立場でしかなく、タイアップ先を意識していないと言われるのは仕方がないといえばそうなのかもしれないが……ともかく首藤はこの曲を気に入らなかったようだ。

そしてさらに、当初は別の主題歌が構想されていたという。それが作中に登場する少女・フルーラ(CV:平松晶子)が歌う『はてしない世界』である。もともとこのメロディはフルーラが作中で笛を用いて演奏していた曲に歌詞をつけたものであり、それを考えれば確かに主題歌としての構想には相応しい。
イメージ的には、『オラシオン』に歌詞をつけたようなものだろう。作曲もポケモンの楽曲を数多く手掛けた宮崎慎二、作詞はおなじみ監督湯山邦彦と、そういった意味でもポケモンを意識したつくりである。

www.nicovideo.jp
しかし、実際にはこれが主題歌として使われることはなく『toi et moi』が起用されることとなった。後に首藤は上記とは別のインタビューにおいて、そうなった理由として映画を広めるために仕方なくだった、述べている。しかしそれでも安易に小室ファミリーを使われたと思われないように、綿密にavex及びスタッフと交渉を重ねたそうだ。

 

 

13.オフ会まで開かれた鬼畜ミッション

5世代にはハイリンクというシステムがあった。Cギアを利用して他プレイヤーの「世界」に訪れることができ、交流が行える。僕はそこまでやった覚えがないのだが。
そしてBW2からは新たにやりこみ要素として「フェスミッション」が追加された。読んで字の通り、ハイリンクを介してさまざまなミッションを受けることができる。

そしてBW2で追加されたやりこみ要素と言えば「メダルラリー」を忘れてはならない。プレイしている方も多いだろうから説明は割愛するが、従来のトレーナーカードの色どころではないシリーズ屈指のやりこみ要素だ。

これらフェスミッションとメダルラリーが掛け合わされることによって、とんでもなく難しいクリア条件が生まれてしまった。

それが、メダルのひとつ「てんとりサウザンド」である。説明にはこうある。

「1000以上の スコアを 記録し 相当 盛り上がった ミッションに 参加した 証しの メダル。」

つまるところ、フェスミッションで1000点以上を取ればいいのである。プレイしていないユーザーはぴんと来ないかもしれないが、少しでもやったことがあればその恐ろしさがわかるのではないだろうか?

フェスミッションというのは、基本的に画像のようなキラキラにアプローチすることによってアイテムが手に入り、ミッション達成までの値が加算されていく。このキラキラはまああちこちを散策していれば見つけるのに対して苦労はないのだが、問題は制限時間がせいぜい5分しかないことだ。

どう頑張っても1-2人では3桁はおろか50点すら全く届かない。つまるところ計算上「30人のプレイヤーが集結し、5分間で一斉に1000点を記録しなければならない」ということになる。これは容易ではなく、確実に当時の僕らのような子供にはできることではない。まさしくやりこみにふさわしいメダルだったのだ。

では当時の「大人たち」はどうしたのか?
そこで開かれたのが、今は亡き浜松町のポケモンセンタートウキョーにて行われたオフ会である。
2012年、2chポケモン板の呼びかけによって行われたこのイベントの規模は100人以上。想定を上回る3000点以上を記録し、恐らくは彼らがこの鬼畜ミッションの初制覇者となった。
このイベントはその後福岡や名古屋でも有志たちによって行われたようである。
BWはいろいろと全国規模のイベントが多かったことを伺わせる。

 

このように「キラキラ」を集めていく

 

 

14.史上最狂の伝説使いが生み出したあの言葉

一部のポケモンファンはアニポケDPに登場したタクトという男を知っているだろう。
アニメ189話、シンオウリーグ・スズラン大会にて初登場した彼だが、シンオウ地方のジム全てをあのダークライで突破してきたというとんでもないヤツ。そしてサトシはなんとかダークライを倒すのだが、その後に出てきたポケモンはなんとラティオス最後の切り札となったピカチュウは相打ちに持ち込まれて終わり、結果としてワンサイドゲームとなりサトシは準決勝で姿を消した。そしてタクトのその後は一切不明である。

そんなあんまりにもあんまりなシナリオから悪しきデウス・エクス・マキナとしてしばしば批判の矢面に立たされることも多い。「サトシがリーグ優勝したら困る」という制作側の事情があったゆえの緊急措置と見受けられるが、そんな彼を発端としてある言葉が生み出された。

それが今でも使われる(よね?)「催眠厨」「伝説厨」という言葉である。

「催眠厨」は、特に4-5世代の対戦を経験してきたプレイヤーは数多く耳にしただろう。7世代でナーフを食らうまでダークライよろしく相手に悪夢を見せつけたわざ「ダークホール」は、ドーブルのスケッチなどの影響で猛威を振るい、使用禁止措置も出されたほどである。
「伝説厨」も少なくとも僕らの世代は耳馴染みが深い。ネットではフリーマッチに潜った時に伝説ばかり使う「キッズ」がそう揶揄されていた気もするが、リアルでも「お前伝説厨じゃん」なんて言葉を耳にしたこともある。他ユーザーがどうかは定かではないが、リアルにも飛び火したスラングだと言えよう。

かような出来事に加え、厨ポケ狩り講座でお馴染みの某実況者の手により、元より汎い意味で使われる「厨」というスラングポケモンでも頻繁に使われることとなった。

 

 

 

15.三値を確立した男

ポケモン廃人の入り口としてお馴染みの種族値努力値個体値の三値。公式に語られることは未だないこれらの隠しパラメータ、実は誰によって発見及び確立されたかが明らかとなっている。

それがHP「hiwasa's game page」の管理人であり、当時一橋大学に在学していた日和佐康一(HN:hiwasa、以下この表記)という男だ。2010年にはhiwasa本人によってそれを仄めかすようなツイートがされている(画像参照)。

彼は一般的に解析に容易とされる逆アセンブラを用いた形式でなく、最近で言うところのコードフリークのような改造ツールによる人力調査で隠しパラメータを明らかにした。これだけでも骨が折れる作業だと思うのだが、時に1997年、下記のhiwasaのアーカイブサイトに示されている計算式によって三値の正体を掴み、それぞれに「成長率」「固有値」「努力値」と名付けた。
これが、努力値という言葉の初出と見られている。

web.archive.org


ちなみに成長率とは後の種族値固有値とは後の個体値のことである。この2つの初出については、彼のブログのコメント欄によるものとされている。

更にhiwasaはバグの研究にも熱心だった。内部データを詳らかにした彼は、SELECTバグを始めとする初代ポケモンのバグ技の先駆者の一人とも言われている。とりわけミュウの作り方について熱心に研究していたようだ(ただし「タマムシシティでミュウを釣る」などのいわゆるfifth法が確立されたのはもっと後)。
こうした取り組みが、後の多くのポケモンサイトに影響を与えることとなる。

ポケモン史に名を残す偉人として、我々は密かに感謝しなければならない人物に違いない。

 

 

16.DPtと『とある魔術の禁書目録』の深い?関わり

BBS民なら『とある魔術の禁書目録』という作品をある程度は知っているのではないか。
「科学と魔術が交差するとき、物語は始まる――!!」のキャッチコピーでお馴染みの、3度に渡ってアニメ化もされているライトノベルの代表格である。

早めに言っておくが、当作とポケモンシリーズに何ら公的な関わりはない。ここに記しているのは単なる偶然である。しかし偶然にしてはかなり被っていて面白かったのでここに組み込むことにした。

さて、DPtにはミルというネームドトレーナーがいる。まよいのどうくつの奥深くで迷っている幼女であり、主人公が助けるとED後に勝負所で戦えるトレーナーの一人だ。またモミ、バク、マイ、ゲンと共に、4世代から新たに導入されたマルチバトルではパートナーの一人として共闘することができる。初期にユンゲラーを連れていることからも見受けられるように、とくこうの高いポケモンを使うのが好みなようだ。


彼女はアニメ版にも登場している。DP編第47話にて、ダム湖に沈んだモンスターボールを探すためにサトシ一行に協力を求め、無事見つかるとお礼にケーシィを使ってヨスガシティにテレポートさせた。
余談だがアニメ版の彼女が使うのがユンゲラーではなくフーディンなのは、かのユリ・ゲラーの例の訴訟騒動の影響である。

そんなミルだが、その時アニメ版で声優を務めたのは新井里美。この時点で、『とある』シリーズを知っているユーザーはある共通点にたどり着くのではないだろうか。ヒントは「テレポート」というワードである。
そう、白井黒子を彷彿とさせるのだ。恐らくであるが新井里美の代表作と聞いてオタクのほとんどは彼女の名前を出すと言っても過言ではない。そして彼女はレベル4の空間移動(テレポート)能力を持つ。

要は「CV新井里美のテレポートキャラ」が被っているのである。しかも代表作と。
念のため付け加えておくが、DP編第47話の放送は2007年、『とある魔術の禁書目録』のアニメは2008年なのでミルの方が先である。
偶然にしてもなかなか面白いなと思うのだ。


そして驚くべきことに『とある』シリーズとDPtの共通点はまだある。
シリーズお馴染みのチャンピオンロードには何人ものトレーナーが待ち構えているが、その中に「ドラゴンつかいのトウマ」と「エリートトレーナーのミコト」というトレーナーがいる。

『とある』シリーズを見たことがあればもうお気づきだろう。「上条当麻」と「御坂美琴」の名前と被っているのだ。彼らはそれぞれ主人公とメインヒロインという作中の根幹をなすキャラである。しかもトレーナー同士の距離も近い。
とりわけ御坂美琴と言えば学園都市に7人しかいないと言われるレベル5「超電磁砲」(レールガン)を持ち、スピンオフ『とある科学の超電磁砲』にその名を冠されていることで有名だ。
そして「エリートトレーナーのミコト」はでんき技で名高いジバコイルを使ってくるのである。流石にでんじほうまで覚えているというわけではないが。

DPの発売は当然2006年なのでこちらもアニメより前の話になるが、『とある魔術の禁書目録』の原作は2004年刊行である。偶然にしてはできすぎているとまでは言わないが、もしかしたらアニメ化前にこれを読んでいたファンがゲーフリ、ひいてはスタッフの中にいたのかもしれない。

 

 

ミコトとトウマの位置

 

 

17.チャンピオンの改造疑惑

既に世界規模の知名度を誇るようになって久しいポケモンは、各地でバトル大会が行われている。中でも代表的なのは2009年から開催されている「ワールドチャンピオンシップス(通称:WCS)」だ。

そんなWCSの2016年大会を制したWolfe Glickという男がいた。彼は英語版Wikipediaに記事があるほどその筋には広く知られた人物であり、公式大会以外にも非公式のナショナル大会「World Cup of Pokemon VGC」も多く制し、史上最高格のトレーナーと名高い。

前回大会でセジュンのパチリスがバトル場を席巻したように、彼もまた「厨ポケ」ではない独特のチョイスのポケモンで場をかき乱す傾向にあった。そんなWCS2016で目玉となったのは、彼の使う「がむしゃら」を覚えたライチュウである。

当然ピチュー系統はがむしゃらを通常覚えないが、2015年にPGLのイベント「戦う! ピカチュウ大会チュウ!」の参加者プレゼントとしてゲットすることができた配信個体である。彼はこの個体をライチュウに進化させ対戦に使用したのである。

ところが、だ。彼のライチュウにはある不審な点があった。それは個体が6Vということである。

6世代以降の配信は3V固定となったものが多いが、それでも6Vが出現する確率は1/32768。これに性格を指定するとなれば25種類の性格数をかけて1/819200。到底1人の人間がそうやすやすと出せるものだとは思えない。
ただでさえ6世代はXYのコピーバグの影響で今は亡きポケモンスタイルなどでグレー個体が横行し、多くの理想個体の配信は白眼視された。

これだけでも怪しいのだが、極めつけは「がむしゃらピカチュウが」3Vではなく2V固定だったということだ。そのうえwolfeの持っていた個体の性格は理想と言える臆病。これが一体どのくらいの確率になるか考えると、恐らく32^4*25で1/26214400。
気の遠くなるような確率である。
さらにさらにそんな希少な個体をコピーバグで増殖させてTwitterで配ろうとしていたのだ(ぶっちゃけ僕は欲しいのだが)。

こんなことだからwolfeの不正疑惑は当初話題となったが、今となっては誰も真相を知るものはいない。


そしてこの話には続きがある。
あのWSCから4年が経った2020年。ある日本のユーザーがこの個体の「再現」に成功した。再現とはほかでもない、要は乱数を使ったのである。
4,5世代から一転、当時は不可能とされていた6世代の乱数は、有志による技術の進歩により今やほとんどが可能となっている。これを利用して配達員乱数を行い、手に入れたというものだ。
ちなみに僕は6世代の乱数を固定、配達、ID調整などひとしきり成功させたのだが、慣れにもよるが流石に4,5世代より面倒といえば面倒である。
起動させるソフトのタイミングによってa-zまでの世界線があり、例えばaの世界線を引いたら任意の個体が出るa'まで、bの世界線を引いたら任意の個体が出るb'まで……といったように待つ必要があるのだ。そして入手難易度が高い(≒理想個体、6V)ほどタイマーを起動してから長時間待たなければならない。

この方法で彼はWolfeの個体を再現したわけだが、タイマーのカウントダウン完了まで費やした時間は何と2週間。ある程度任意の個体に狙いを定めてもなおそれほどまでに臆病6Vは難しかったわけだが……真相や如何に。

↓上記の乱数について書かれたブログ

taiyaki3gen.hatenablog.com

 

 

 

18.リアルレッドと呼ばれた男

引き続き疑惑のある世界大会のプレイヤーについての話だが、彼はシロの可能性が高いとみている。

先程WCSは2009年から始まったと書いたが、では初代の優勝者は誰なのか?
それこそが「リアルレッド」の異名をとった草薙昨日(本名:辻一行)だ。

「ドクロエンペ」と呼ばれた当時主流の雨パ兼雨パのメタになりうるコンビで一世を風靡し、それ以外にもボーマンダメタグロスといった一線級のポケモンをバランス良く配置、その戦略性でダブルバトルの門戸を大きく開いた偉大なる人物である。
このことからWCS2015の優勝者ビエラを始め、現代のバトルランカーに与えた影響は多大だ。

そんな彼のバトルスタイルにおいてひときわ目立ったのが、すべてのポケモンが6V、そしてパーティ6体のうち5体が色違いということだ。当然、当初は改造が疑われた。だがラストチャレンジ大会で使用したパーティが無断に解析され、その結果性格値を含めすべてのポケモンがシロの個体であることが確認された(そもそも改造だとしたらここまで露骨に色違い6Vにするだろうか?)。

そう、つまり彼は当時膾炙していなかった乱数調整を用いて個体を調達していたのである。

繰り返すが、彼は恐らくシロだ。にも関わらず改造を疑う心無い連中によって2ちゃんねるに叩きスレまで建てられてしまい、しまいには誹謗中傷が相次いだ(今でも調べれば出てくる)。当時のユーザーにとっては乱数調整とは改造にしか見えてなかったのだろう。今でも一部はそうなのだろうが。

そんな状況に嫌気がさしたからかどうかは定かではないが、これ以降彼が表舞台に出てくることは殆どなかったのだ。
現在は自宅にWi-Fiも通っておらず対人戦はおろかポケモンからも多くを引き、引きこもり生活を送っている(調べればツイ垢も出てくるが、そのほとんどがパチスロである)。
これこそ、彼が「リアルレッド」と呼ばれる所以なのである。

どうか多くのポケモンプレイヤーは彼のことを忘れないで頂きたい、と僭越ながら思うのだ。

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19.ハルカなのにヒカリ

アニポケはサトシ一行がさまざまな場所へ旅をし、その度にポケモンと出会い絆を深めていく。そこに欠かせないのがトレーナーを始めとした人々の出会いである。

そんな旅先で出会うトレーナーたちの中には、もちろん16のミルのように予めゲームに登場していることも多いが、アニメのみの登場で、1話-数話限りの交流をする人物もいる。そんな中に個人的に面白い形で名前を残したトレーナーがいたので紹介。

無印編第190話『ウインディほのおのいし! 』に登場したハルカというトレーナーがいる。ウインディを使いこなす華麗なお姉さんということもあり、タケシはいつものように目がハートになっていた。
彼女は大会の賞品となっていたほのおのいし届けようとしていたのだが、道中のロケット団に奪われてしまう。しかしサトシ一行の活躍によって無事取り戻し、最後はロケット団を追い払って別れを告げたのだった。

さて、先に述べた通り彼女の名前は「ハルカ」だが、ポケモンでハルカといえば、当然ほとんどの人が3世代の女主人公もといAGのヒロインであるハルカを思い浮かべるだろう。
これだけならそれほど珍しくはない。案外作中でメインとなるトレーナーの名前は被っていたりするのだ。
14に触れたタクトも、AGのトレーナーズスクールにいた生徒に同じ名前がいる。まあDPのタクトはWCS2009のカード部門の優勝者・板垣拓斗からとられている、ということもあるのだが。

彼女の何がここに書くに値すると言えば、声優が豊口めぐみであったということだ。
言うまでもなく豊口めぐみと言えば、DPのヒロイン・ヒカリの声優。
つまりAGもDPも始まる前の無印の段階で、ハルカ(CV:ヒカリ)という偶然が発生していたのである。

更に無印のハルカにはユタカという弟まで登場している。これもまたマサトを彷彿とさせる面白い偶然ではないだろうか。

ちなみに3世代のハルカの英語名は"May"というのだが、この名前はBW2の主人公メイとも被ってしまっている。
何かと名前の被りに縁があるハルカであった。

 

画像の紫の髪の女子がハルカ、紫の髪の男子が弟のユタカ

 

 

20.きのみ問題

20代以上、特に3世代をリアルタイムでやっていたプレイヤーであれば「きのみ問題」自体は多くが耳にしているかもしれない。
それを承知の上であえて語るのであれば、ゲーム史上なかなか珍しい状況のバグであるということと、裏ポケモン史に大きな影響を及ぼしたということについても触れるべきであると考えている。よってここでは改めてきのみ問題の沿革を記すとともに、その特異性や後のシリーズにもたらした影響について述べる。

まず「きのみ問題」が何を指すかということについて、RSに起こったバグであることを知っているユーザーは多いだろう。しかし20年近く前ということも影響してか、その内容についてあまり触れられているのを見たことがない。よってその説明から行っていく。

【そもそもきのみ問題とは?】
ことの発端はRS発売から1年が経過した2003年11月22日頃のことである。
その名称に冠されているように「きのみが育たなくなる」不具合を始め、「ゲーム内の日付に関連付けたイベントが一切できなくなってしまう」という不具合が相次いで報告された。

原因は何か――。当初はお馴染み内蔵電池切れが疑われたのだが、それは否定された。理由としては、「通常内蔵電池は4-5年は持つこと」「そもそも主人公の部屋の時計は動いていること」である。さらに、ゲームをはじめからプレイしてもこの現象は改善されることはなかったのだ。

結局公式声明がないままであったため推測の域を出ることはないが、「年単位での時間カウントがROM内できていなかった」のが主な理由と見られている。
事件が起こった2003年11月22日は、RSの発売日である2002年11月21日から366日目。要は1年と1日目だ。初期出荷版のRSは予め1年分のタイマーしか用意できておらず、結果として「日付に関わるイベントが進行しない」という不具合が発生した、ということである。

 

【きのみ問題の特異性】
あくまでリアルタイムでは体験することのなかった僕の個人的な感想になるが、きのみ問題は多くのゲーム界隈を席巻してきたバグに比べインパクトこそないものの、非常に物珍しさがあると見ている。その理由については主に2つ。

①規模の大きさ
上記にも示したがこのバグは「プレイしていれば誰でも起こる」のである。しかもオフラインでだ。
オンラインならまだわからなくもない。根幹となる鯖が消失してしまえばどうしようもなくなるし、そういった不具合でサービスを終了したオンラインゲームもある。
しかしRSはオフラインでプレーするものだし、そもそもオンラインの発端となるWi-Fiが確立されたのは4世代からである。
このようにきのみ問題はオンラインの環境がないゲームにも関わらず、プレイヤー全員に起こった。

②蓋然性の高さ
これは要するに「一定の操作を介せずとも発生してしまう」ということだ。
普通バグというものは何かしらの手順を踏まないと起こることはない。特に意図的にこれを起こすものは「裏技」と呼ばれたりするし、セレクトバグやなぞのばしょを始め、ポケモンがそういった話題と切っても切れない関係にあるのは周知の事実でもある。
他のゲームではねこねこソフトのアダルトゲーム『みずいろ』や、セガの『PSO』などダウンロード/アップデートをしただけでHDDのデータを吹き飛ばしてしまうという恐ろしい不具合の事例も存在する。
しかしこれらはあくまで任意のタイミングでセレクトを押したり、四天王の部屋の前でなみのりをしたり、インストールなどのアクションを行ったときの話である。きのみ問題はそんな特殊な手順がトリガーとなることなく、ゲームを起動するだけで発生してしまうのだ。

【きのみ問題の終息】
さて、このような事態を受けて当然任天堂側は修正の対応に追われた。具体的には、修正パッチを配布するというものだ。
騒動から10日ほどが経過した2003年12月3日、「不具合を書いたメモを添え、カートリッジを修理センターまでお送りください」という旨の声明を発表した。現在のそのリンクが残っている。以下より。

www.nintendo.co.jp
ここに書かれているように当初は郵送及び持ち込みのみの修理であったが、次第に解消方法が拡大していった。
翌2004年にはポケモンセンターや月刊任天堂(後のDS/Wiiステーションの前身)などへの持ち込みに加え、同年1月29日発売のFRLGにおいて通信ケーブルを用いたアップデート方法も確立された。
こうして未曽有のレアケースとなったきのみ問題は収束に向かったが、上記リンクにもある通りなんと2016年まで郵送での修理対応は行われていた。この辺りは流石任天堂と言うべきか。

 

 

【きのみ問題がシリーズに残したもの】
概ね上述したような内容がきのみ問題による一連の流れだが、戦争で皮肉にも経済特需が起こるように、このバグは後学や恩恵も任天堂社員、引いては我々にも与えている。3つに分けて紹介していこう。

①類似ケースへのスムーズな対応
「プレイしていただけで誰でも起こる」というわけではないが、2006年発売のDPにもポケモン界を席巻させたバグがあった。
そう、なぞのばしょである。

最早言うまでもないが、当時のデマや或いは誤操作によって、四方を謎の壁に囲まれて動けなくなり泣き寝入りしたキッズは数知れない。そんなキッズたちの救済策となったのが先程も触れたポケモンセンターや、月刊任天堂改めDSステーションである。
Wi-Fiがこの頃から使われ始めたのも大きかったが、きのみ問題と同様の形態のバックアップ体制によって、多くのプレイヤーが暗黒空間からの脱出を果たした。

②エメループの発見
またしても僕が好きな乱数の話になるが、きのみ問題は乱数の発展に大きく寄与している。それが諸君らも一度は聞いたことがあるかもしれない「エメループ」の発見だ。
何度も言うようにきのみ問題は「日付関連のイベントが起こらなくなる」ことである。よって、365日目で止まった内部の時間は同様の乱数を文字通りループしてしまうのだ。
これによって「固定シンボルを粘っても同じ個体が出る」「ミナモデパートのくじの当選番号が同じになる」などといった現象が起こってしまう。この不具合を逆利用したものこそ、乱数調整の代表格エメループなのである。
現在では技術の発展によりID調整まで可能となった。

③初めての色違いの配信ポケモン
きのみ問題のさなか、修正パッチの広告を目的とするために任天堂はある策を打った。
それこそが史上初となる「確定で色違いとなるの配信ポケモンジグザグマである。先述したポケモンセンターや月刊任天堂にてRSそれぞれのバージョンの個体が配布された、
これといって特別なわざはないが、このジグザグマはチイラのみを持っている。3世代ではかのマボロシじまでしか手に入らなかったこのきのみの配布もまた、何とも言えない特別感がある。
なおこれ以降の確定で色違いとなる配信は恐らく、WCS2008の優勝者を記念したミロカロスまで待たなけれないけないこととなる(さいはてのことうのミュウなど、固定シンボルで色違いが出る可能性のポケモンはいる)。

ちなみに写真は交換で手に入った僕の持っている個体。

 

ポケモンバンクより

21.お蔵入りのリベンジ?

どうしても何かと評判の悪いイメージがついてしまっているアニポケベストウィッシュ。

その理由としては各々がいろいろあるのかもしれないが、やはり制作サイドにとって最大の誤算であり、悪評の遠因の多くを占めているものとしてお蔵入りとなったエピソードを挙げないわけにはいかない。
それがかの『ロケット団VSプラズマ団!』だ。

理由はご存じの通り東日本大震災に配慮を行ったもの。過去の新潟中越地震の際にもAGの『ゆれる島の戦い! ドジョッチvsナマズン!』が放送延期となり、以降「じしん」がアニメで使われなくなったのは有名な話である。
だがお蔵入りの原因は地震ではなく、福島第一原発事故によるものであった。

次回予告のアララギ博士のセリフ「エネルギーが加速度的に高まっている……!」に見受けられるように、ロケット団リゾートデザートから発掘した「メテオナイト」が熱暴走を起こし、ヒウンシティを被害に巻き込む……というくだりがある。
この様子が原発事故を連想させてしまった。

本来作中の展開における最初の布石となったエピソードのお蔵入りは、BWに大きな軌道修正を強いることとなった。
このエピソードを皮切りに早々に道化役へと戻る筈であったロケット団のシリアス化の継続であったり、プラズマ団の登場が2年先延ばしにされたりなど、この辺りの話は最早ここでする必要もないほど諸所で議論が交わされている。


……とここまでは諸君も既知の話ではないだろうか?
だが僕が思うにこの悲劇的な話には続きがある。それはお蔵入りから9年経った新無印のとあるエピソードである。

それが新無印編第14話『初イッシュ地方! 遺跡でレイドバトル!!』だ。ゴウがメグロコヒヒダルマゴルーグをゲットした回である。
余談ながらこの話はアニポケ通算1111話に当たるある意味節目でもあるのだが(どうせなら11/11日に書けばよかった)、注目すべきはその舞台とスタッフだ。

タイトルにもある通り、サトシとゴウが訪れたのはイッシュ地方。そして舞台は9年前お蔵入りになったリゾートデザート
さらに関わっているスタッフは脚本・冨岡淳広作監・夏目久仁彦、作画協力にスタジオたくらんけのメンバーといった具合であるが、これは『ロケット団VSプラズマ団!』を制作した面子と全く同じなのである。
要するに、お蔵入りエピソードと「同じ舞台」かつ「同じスタッフ」により今度は放送が成就したのだ。
これは密かな制作側のリベンジではなかったのだろうか、と僕は考えている。

アニポケBWについては様々な、どちらかと言えばよろしくない評判を耳にすることが多いが、こうしたスタッフの努力を忘れないでほしいと切に願っている。

ノンジャンル長文 「インターネットとセカイ系」問題と回答

Q1.

【本名で回答、2つの功績を分けて紹介】

【功績1】

幼少期よりプログラミングに触れ、高校生の頃にはパソコン通信のホストとして「里衣座」と名乗り、全盛期には2000人規模の会員がいたとされる「聖まりあんぬBBS」を運営すると、

当時の膨大なデータ量と電気代を鑑みて、インターネット上のみならず彼の自宅に直接データを持ち込むものが多く現れ、黎明期のプログラマやWeb系アニメーターらの梁山泊として、自邸が「鴨邸」という愛称で親しまれていたほか、

「聖まりあんぬBBS」では「波動語」と呼ばれた現代のネットスラングの元祖とも言われる語群が数多く交わされ、中でも『きまぐれオレンジ☆ロード』のヒロイン・鮎川まどかを敬った「まどかもえ~」という単語や、1993年に『なかよし』に連載された漫画『太陽にスマッシュ!』の主人公・高津萌に対して使っていた「萌~~~~~~~~~」という単語から、ネットスラングとして使われる「萌え」の起源者として現在最有力となっている人物で、

【功績2】

その後当時希少だったコンピュータ制御の仕事に携わると、テレビ番組『東京フレンドパーク』のアトラクション制作などを担当してやがて起業に至り、

先述した「鴨邸」の有志らと株式会社be voidを設立、1998年にはGoogleと時を同じくして検索に関わる仕事を始めており、

2004年には会社名をMARS FLAGに改称するとサイト内のサーチエンジンに特化した検索サービスを提供、現在でも利用される「検索窓にキーワードを打ち込むと予測変換を表示する」機能を開発し特許を取得しているほか、

このサーチエンジンは数々の大企業のみならず内閣府でも取り入れられ、買収を提案したGoogleYahoo!を押しのけて、30億もの規模を有するとされるサイト内検索の市場を独占しているのは誰でしょう?

 

Q2.

【通称で回答】

2017年に「カクヨム」にてSF小説イリヤの空、UFOの夏』が無償で公開された際には、数年ぶりに消息を現した同著の作家である秋山瑞人がコメントを書き残し、その中で「エリア51の象徴の一部」として、ウサマ・ビン・ラディンを殺害したとされるブラックホークと並んでこの機体について触れており、

ステルス機であることから2009年に公式の声明が発表されるまで存在そのものが隠匿され、エリア51で非公式に実験飛行を行っている程度しか情報が明かされていなかったため、メディアからは「謎の未確認飛行物体」として扱われるなど、まさしくUFOのような扱いを受けていたものの、

2011年にはイラン軍によって「機体をハッキングして無傷で鹵獲した」という報告が上がっており、この際にイラン国営テレビに紹介されたことにより初めてその姿を現し、同年にはオバマ大統領が返還を要求するという一幕があったが、未だ機体の用途や詳しい性能は判明していない、

2000年代にロッキード・マーティン社によって作られ、現在でもタリバンを相手にした「不朽の自由作戦」に参戦していると思われる無人航空機「RQ-170 センチネル」のことを、公式に発表される以前にジャーナリストから呼ばれていたとされる、アフガニスタンの地名を冠した通称で何というでしょう?

 

Q3.

その名は政治家であった父の釤之助が歴任した県知事と市長に由来し、異母兄には高見順、従兄弟には永井荷風を持った、

現在の遊学館高校の前身に当たる金城高等学校に始まり、北海道を中心に多くの小学校や庁舎を手掛けた建築家で、

代表作には近代建築を保存する団体「DOCOMOMO Japan」にも選定され、廃校となってからは解体を模索されるも住民らの保存運動により撤回、現在はフィギュアミュージアムとして再生された旧明倫小学校や、

1959年に三菱美唄炭鉱の発展により新たに建築され、一時期は1570名もの生徒が在籍、その後採掘業の斜陽化に伴い廃校となるとその特徴的な見た目から多くの廃墟ファンを惹きつけ、現在では「我路円形校舎」という通称で全国屈指の美麗な廃校として名高い旧美唄市立沼東小学校、

また俳優・安田顕の出身高校であり、その縁あってかTEAM NACSの同僚である大泉洋が主演を務めた映画『探偵はBARにいる2』ではロケ地としても利用された室蘭市立絵鞆小学校などがあり、

何より彼の全ての建築に共通する特徴として建造物が円形を模していることが挙げられ、その特異性で知られるのは誰でしょう?

 

Q4.

児童文学研究家のテス・コスレットによれば、後述する彼女の代表作の作中で飼育されているディクシー、ピクシー、フロプシー、ロビンという名前の鳥が、『ピーターラビット』に登場する4匹のウサギ、即ちピーター、フロプシー、モプシー、カトンテールの名前と類似性があるという指摘があり、ビアトリクス・ポターなど多くの児童文学作家に影響を与えたと言われている、

代表作に1786年の発表から1世紀以上にも渡り印刷されて読まれ続け、今日に至る海外児童文学に多大な影響を与えた、子供たちと鳥や動物との交流を描く『Fabulous Histories』があり、児童文学における人間以外の生き物が会話をするという概念を定着させた女性作家で、

後に青年期を対象とした小説が流行を見せてジャンルが定着した1950年代より約150年も前に、少年少女向けの小説という概念である「ヤングアダルト」や「ジュブナイル」を造語・提唱したとされているのは誰でしょう?

 

Q5.

【フルネームで回答】

ニコラス・ウィンディング・レフンが監督を務めた映画では主演としてタイトルにも冠されており、トム・ハーディがその役を演じているほか、そのソシオパスな振る舞いがゲーム『グランド・セフト・オートV』の主人公の一人、トレバー・フィリップスのモデルとなったことが明かされている、

1974年に郵便局を襲撃したことにより刑務所に入ってから一度は出所し、その後は地下闘技場でベアナックル・ボクシングに興じるも、別の強盗が発覚して再び入所することとなり、以降は刑務所内での粗暴な行為が有名になった人物で、

刑務所内で人質を取ったり、屋根の上に載って抗議をするのはしょっちゅう、その上獄内では芸術家としての活動を目指していたためか、1999年には芸術教師にスケッチを酷評された腹いせに犬のリードを繋ぎ、講師を44時間に渡り人質に取るなどの行為で終身刑が言い渡され、そのほかにも自分の髭の長さをフィデル・カストロと比べたいと述べてヘリコプターを要求するなど強烈なエピソードが残り、

かような行為から現在に至るまで約40年間を刑務所の中で過ごしており、これはイギリスの囚人の中では、脳を食したことから映画『羊たちの沈黙』に由来して"人食いハンニバル"と呼ばれたシリアルキラー、ロバート・モーズリーに次ぐ2番目に服役年数が長い囚人である、

本名をマイケル・ゴードン・ピーターソンという囚人を、彼が地下格闘技に興じる際に名乗っていたリングネームから何と呼ぶでしょう?

 

Q6.

大学生時代に後にセガの『スターブレイザー』などを手掛けるトニー鈴木と出会ったことがキャリアのきっかけであり、初めにナムコへ入社するとMSXのゲーム制作に尽力、

その後はファミコン雑誌が大きく広がる中でB級雑誌として売り出していた『ハイスコア』の編集に携わると、当時はアイスの懸賞品であったファミコンソフト『ゾンビハンター』を手掛けたほか、

『ハイスコア』における都市伝説としても有名な「『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』のラスボスである竜王を発売前に掲載してしまった」という話とも密接に関わっており、実際のところこの説はデマとして否定されているものの、数多く同作のリーク記事を掲載してエニックスとの訴訟問題に発展したことを後に明かしている、

そのほかの功績に『いただきストリート』第1作のプログラミングや、チュンソフトに移籍してからの『弟切草』『かまいたちの夜』の開発が挙げられる、2021年11月5日に亡くなったゲームプログラマで、

糸井重里が『MOTHER2 ギーグの逆襲』を生み出すにあたって、「見た目は童顔で奔放だが、反面高い知能を有しているキャラが欲しい」という意見を受けたデザイナーの大山功一が、同じく糸井が手掛けた『モノポリー』で縁のあった彼の顔から着想を得て、「どせいさん」のデザインの元になったと言われているのは誰でしょう?

 

Q7.

江戸時代末期に酒井忠徳によって開校された致道館の流れを汲んで1908年に創立したためか、校章の図案名、及び学校だよりには酒井家の紋章である「剣かたばみ」という名称が使われているほか、

東京事変のキーボードを務める伊澤一葉は、2018年まで13年間に渡りこの小学校で「4年生が作詞をしたものにメロディをつける」という作曲イベントを行っていたという話や、

『うたえほん』『きいろいばけつ』などの絵本で知られる作家・土田義晴の出身校であり、「致道図書館」と名付けられた図書館の中央には土田が寄付した500冊もの本を集めた本棚が鎮座しており、この話に象徴されるように図書での生徒の育成に力を入れていることで知られ、

そのあらましとしては1995年頃に五十嵐絹子という学校司書が就任した際に、当初は薄暗い雰囲気であった図書室を「本のレストランにする」と宣言し、環境の整備や場所の移転、蔵書の取捨などを経て改革に成功したという経緯があり、

公式ホームページに掲載されていた2017年頃の図書館の賑わいようを見る限りでは、7時40分の開門から8時10分までの貸し出し時間の間に延べ150人もの生徒が訪れ、休み時間や放課後も大盛況である様子が伺えており、生徒の7割が毎日図書を借りていくと言う話もあるほどで、これに加えて積極的な保護者による読み聞かせ活動や「図書館だより」の発行、更に授業にも資料として図書館を大きく活用するという学校政策をとっており、

こうした取り組みが評価されて2003年には全国学図書館協議会主催の学校図書館大賞を受賞するなど、図書館教育、引いては生涯学習の模範となっている小学校はどこでしょう?

 

Q8.

1962年公開の映画『史上最大の作戦』では、『サヨナラ』でナンシー梅木が演じたカツミの恋人のジョー・ケリー役で知られる俳優、レッド・バトンズが演じている、

第二次世界大戦のさなかの1944年、アメリカ軍が行ったオーバーロード作戦において、最初の開放目標であったフランスの村・サント=メール=エグリーズに落下傘部隊の1人として降り立った軍人で、

基本的に身動きが取れない落下傘部隊に対して、村を支配していたドイツ軍は地上から銃撃を浴びせたため多くの兵が犠牲となる中、彼は村の教会の尖塔にパラシュートが引っ掛かってしまい、そのまま2時間余りに渡り死んだふりをしてドイツ軍の攻撃を避けながら戦局を眺め続けたといい、

結局4時間後にドイツ軍の手から脱すると、30人を捕虜にするなど八面六臂の活躍を見せブロンズスター勲章を授与されたという逸話が残っており、

その後も村の名誉市民となるなど交流が続き、現在彼が引っ掛かったサント=メール=エグリーズ教会の尖塔には、当時の状況を再現し彼を模した人形がぶら下がっており、観光名所となっているのは誰でしょう?

 

Q9.

社会人となってからは九電工に入社しニューイヤー駅伝などでも活躍、その後は東京国税局に務めたものの、2015年の不法侵入・器物破損容疑に始まり5度の逮捕を繰り返すなど、輝かしいキャリアから一転して凋落の一途を辿っている、

高校生時代には熊本国府高校のエースとして県大会ではアンカーでテープを切り、同高の初となる都大路(全国高等学校駅伝競走大会)出場に貢献、その後は上武大学に進学すると、

2008年の第84回箱根駅伝では当時から青山学院大学の監督を務めていた原晋の下、関東学連選抜の一員として出場し、上武大学出身者として初めて箱根の地を踏んでおり、

当時2年生ながら山登りの5区を任されると、前を走っていた山梨学院大学などの5選手を一気に抜いて4位まで上がりそのまま往路をフィニッシュ、翌日の復路も4位で終えたことにより、史上最多となる3校の棄権を出したという厳しい条件下であった同大会にも関わらず、関東学連選抜における史上最高順位の好成績を残した原動力となった選手で、

これをきっかけとして翌年には史上41校目の出場校として上武大学が初出場しており、さらに翌年の第86回大会では、同大学の部員として再び5区を走ったのは誰でしょう?

 

Q10.

京都芸術大学時代にインダストリアルデザインを主とした高井一郎に師事し工業デザインの道を志したという、

2004年発売のスチームオーブン「ヘルシオ」では、「インテリアのようなデザインにしたい」という要望から赤とシルバーのコントラストが映えるデザインにしたところ見事ヒットを飛ばし、

2010年にはシャープ初の女性本部長として「オンリーワン商品・デザイン本部長」に就任、さらに翌年には同じく同社では女性初となる執行役員に就任しマーケティングを行っているデザイナーで、

携帯端末「GALAPAGOS」の開発に注力すると、「サラリーマンの定型化した仕事に一石を投じたい」「敢えてスマートではなく前時代的なゴツゴツとした名前にしたい」とこれを命名し、実質的に「ガラケー」という言葉の生みの親となったのは誰ででしょう?

 

Q11.

【サブタイトルを回答、一部独自研究を含む】

対象を「iPhone」のみならず「スマートフォン」にまで広げると、2006年4月24日に登場したアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』 第4話『涼宮ハルヒの退屈』にて、登場人物の古泉一樹が所有していたNOKIA製のボーダフォンが最初だと思われるが、こちらは現在使用できないため真に「最初」とは言い難いものとなっている、

アニメ『瀬戸の花嫁』における、直後の最終話である第26話などと同様にアニメオリジナルエピソードのひとつであり、当時クライマックスが未完であった原作とは全く違う描写がなされ、原作では比較的味方側のキャラであった源義魚が完全なる黒幕として登場するなどの大胆な改変がなされた、

些細なことからケンカをしてしまい仲直りができない主人公・満潮永澄に、ヒロイン・瀬戸燦が愛想を尽かしてしまい、黒幕である源義魚が差し出した招待状でパーティーへと向かうも、実は罠であり燦が監禁されてしまったから助けに行こう……という内容の、2007年9月23日に放送された 『瀬戸の花嫁』第25話のサブタイトルで、

源義魚が写真を撮影する際に使用していた携帯端末が、現実のアメリカで僅か3か月ほど前に発売されたばかりのiPhoneであり、「iPhoneを使用する」という描写が作中でなされたことから、公式のアニメーション史上において、初めて現行のスマートフォンが登場したとされているのは何でしょう?

 

Q12.

その名は具平親王の末裔が訪れた際にこれを食したことに由来し、「天皇の末裔だから」ということで名前がついたものの、名称の漢字をそのままの形で使うのは皇族に恐れ多いということで、同音のまま別の漢字で表記するようになったため現在の名前になったという逸話があるほか、

これを1805年から2014年頃まで長らく販売していた唯一の店である「藤坂屋本店」には、国木田独歩が一時期、間借りという形で居住しており、その近辺を綴った小説『置土産』では、「餅は円いのが普通なのに、わざわざ三角形の形にして客の目を惹いているのかと考えたけれど、こうした方が餡を楽に包むことができるからなのか、いつしか店の小ささに似合わないほど繁盛していた」と書かれている、

その文言通り正三角形を模した生地を円い餡で包んでいるのが特徴の、生八ツ橋によく似た外見をした山口県柳井市の銘菓となっていた大福で、

昭和後期に国会で参議院議長を務め「参議院のドン」とも呼ばれていた重宗雄三が、自らの選挙地盤であった柳井市のこの銘菓にインスピレーションを受け、一説に佐藤栄作退陣後の自民党総裁を争った4人を表す「三角大福」という呼称の由来となったとされているのは何でしょう?

 

Q13.

【地名の字を解答】

事業後は即座に埋め戻されたことから形跡が全くと言っていいほど残っておらず、自治体もこのことを全くアピールしなかったためか、後述するような偉大な功績にも関わらず長らく知られることはなかったものの、

2016年に秋田県の地元紙『魁新報』のコラム「ふるさと小紀行」に掲載されたことや、この記事を見た廃道探索の権威であり、ブログ「山さ行がねが」の管理人であるヨッキれん氏の調査によりようやく具体的な事業内容が明るみに出ることとなった、

付近には同じ地名を冠した岩場が広がる海岸・海水浴場や、同じく同地名を冠したJR五能線無人駅が存在する、秋田県山本郡八峰町にある字で、

交通の利便性や事業に協力的だった住民に加え、龍飛崎と地質条件が似通っていた特徴から、

1960年代に青函トンネル掘削のプロトタイプとして、現在では宿泊施設「八森いさりび温泉ハタハタ館」の裏手にある町道沿いの地形に、事実上日本初となる海底トンネルが試掘されたのはどこでしょう?

 

Q14.

【英題で回答】

ポルトガル版では同国の地方名である「Alentejo(アレンテージョ)」、オランダ版ではもはや全く関係のない「Ireland(アイルランド)」と名付けられるなど実際の撮影場所とは違う名称がつけられていたため、公開されてからしばらくは撮影場所の特定に難航していたものの、

2006年にサイモン・ゴールディンとジェイコブ・セネビーからなるアートユニット「Goldin+Senneby」が場所を特定し、当時既に辺り一面はブドウ畑へと変化を遂げていたものの、同じ構図で写真を撮ったことで話題となり、現在はグーグルマップにも「聖地」として掲載されている、

1996年に写真家のチャールズ・オレアが付き合っていた彼女に会いに行く道中で、カリフォルニア州ソノマ郡を通る州道12号から撮影した、「起伏のある草原と青い空と白い雲が写っている写真」のことで、

これをマイクロソフトの傘下であるストックフォトを収集するサイト「Corbis」に投稿したところ、マイクロソフトから購入を申し込まれることとなり、これが「Windows XP」のデフォルトのデスクトップ画像となったことで数十億もの人々が認知したとされ、

それらの経緯から「史上最も閲覧された写真」とも言われているものを、「至上の喜び」といった意味の英語から通称で何というでしょう?

 

Q15.

つちのこの発見例が数多く報告されており、フリーライター大竹敏之曰く「日本で最もつちのこの発見が期待される場所」であるといい、毎年3000人もの人々が訪れるとされる「つちのこフェスタ」なるつちのこ探索イベントが開かれたり、公式サイトにも「つちのこ秘伝」なるタイトルでつちのこの生態について触れているコラムがあったり、

さらに1992年に開館された「つちのこ館」は、アニメ『けものフレンズ』第4話「さばくちほー」において、つちのこ館を運営する株式会社ふるさとの社長・安江豊司が「やすえおにいさん」として出演しつちのこに関する解説を行っており、館内には『けものフレンズ』のキャラクター原案を務めた吉崎観音から贈られたイラストと手紙が展示されているなど、

とにかくつちのこを村おこしの一環としていることが見受けられる岐阜県加茂郡に位置する村で、

江戸時代まではすべての家が檀家となっていたものの、明治期に当時この村の支配下にあった美濃苗木藩の大参事・青山直道が平田篤胤国学に大きく傾倒していた影響で徹底的な廃仏毀釈運動が行われ、現在に至るまで一度も合併や分割がなかったことも影響し、日本の自治体としては唯一寺院が存在しないことでも知られるのはどこでしょう?

 

Q16.

これとは別に愛知県ローカルで放送されたという同系統のものは『ACC CM年鑑』に紹介されており、この年鑑のキャプチャー画像から「鬼の面を被った人間に『No!』と書かれたテロップが挿入されている」という情報は判明しているものの、こちらは未だ映像の発掘には至っていない、

最初に2ちゃんねるに言及された2000年の書き込みから20年以上に渡り実際の映像が見つかっておらず、未発掘のCMについて情報を収集するスレッド「未出・迷宮入りCM捜索スレ」のタイトルに長年その名が冠されるもなかなか発掘されなかったことから、

同じように「迷宮入り」かつ「怖いCM」の一環として数えられることでも知られる『ヒトガタ』と共に、一部からはマンデラエフェクトであるとも見做され発掘が絶望視されていたものの、

2022年1月28日、ついに元テレビ局員を名乗る人物の手によってスレに投稿、最初の書き込みから実に22年の時を越えて実際の映像が確認され、その際に「怖いCM」と言われていた割には思ったよりかわいらしい映像であったこと、またナレーターは銀河万丈が務めていたということも判明した、

東京都がマルチ商法への注意喚起のために制作した「悪質商法追放キャンペーン」の一環として放送されたCMのことを、その映像に登場しテーマとなっているものから通称で何というでしょう?

 

Q17.

【本名で回答】

【最後のパラグラフは半分所感なので注意】

活動をやめてからはラスベガスに移住してプロのポーカープレイヤーとなり、その後低い立場から公職に当選しカリフォルニアの市役所に務め、またコイン集めの趣味が高じて米国貨幣協会の会員でもある、

10代のころに学校を中退してセックスワーカーとなると、ビートルズの4人全員と寝たと自らでは語り、中でもポール・マッカートニーとは当時の妻だったリンダをリムジンで連れ出してまで寝たという話や、ロックバンド、バッド・カンパニーのギターであるミック・ラルフスとコカインをキメながら高速道路を走っていたという強烈な逸話の数々も残っているものの、

何より彼女が有名なのは電話の交換手として働いていたころの経験に端を発するハッキング、いわゆるフリーキング行為によるものであり、1977年には僅か17歳にして電話回線の不正侵入に成功したとされ、その後ケビン・ミトニックらと世界初かつ最も有名とされるハッキンググループ「サイバーパンクス」の一員となると、そのクラッキング能力だけでなく女性であることを生かした心理的立場で優位につき、電話越しであることを利用した手法により、現在の「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺にも繋がる「ソーシャル・エンジニアリング」を開拓した最初期のハッカーで、

やがて1995年に下村努らの尽力により「サイバーパンクス」のメンバーが逮捕されて活動は終焉に向かうも、彼女だけはFBIに情報提供をする代わりに罪を免除され、あくまでも「女性の共謀者」として匿名で触れられるのみになっており、

【ここからやや所感】

その後時は経って2022年、徹底してメディア露出は愚かインターネットの痕跡も避けていた彼女がインタビューに応じると、自らが伝説的な存在になっていたことを自覚して「なぜ私のことを誰も知らないのか知っている?」と問いかけ、インタビュアーが首を横に振ると、「私は捕まらないから。世界最高のハッカーは捕まったことがないから。誰にも知られていないから」と答え、このように圧倒的な他者を欺く能力と徹底した振る舞いから、個人的には名前が残る人物の中では、ミトニックを凌駕する世界最高のハッカーだと思っているのは誰でしょう?

 

Q18.

この楽曲が生まれた背景として、当時ポストロックバンド・FLEETのボーカルであった佐藤純一が、2010年末にTwitterにてボーカロイドに痛く感動を受け、一連のツイートを「togetter」にまとめたところ大きな反響を呼び、楽曲制作を決定づけたという経緯があった、

確認できる限りでは、既にメジャーデビューを経験していたアーティストが初めて手掛けたオリジナルのボーカロイド楽曲で、表層にいる一般のアーティストに比べて、圧倒的にアングラ的立ち位置だったボーカロイドPの格差を埋めるように、という佐藤本人の思いで製作され、少なからずこの思いをきっかけにして、現在多くのボカロP出身者が邦楽を席巻している状況と繋がっていることも忘れてはならない、

ギターとピアノはそれぞれトルネード竜巻のフタキダイスケと曽我淳一、日本語訳詞は歌い手として活動するルシュカが務めた、「歪んだ日々に乾いた歌を囁く偶像を見る人がいる。」という歌いだしで始まる、2011年1月15日に動画サイト「ニコニコ動画」に投稿された初音ミクVOCALOIDオリジナル楽曲で、

当時からボーカロイドPとして活動しており、この楽曲のスペシャルサンクスにも冠されていたyuxuki wagaや、兄には5pb.のゲーム『Steins;Gate』などのシナリオを手掛けた直孝を持ち、この楽曲の作詞を機に作詞家へと転身することとなる林英樹、そして作曲を務めた佐藤純一といったメンバーが一堂に会し、

後にアニメ『小林さんちのメイドラゴン』のオープニングテーマ『青空のラプソディ』など、多くのアニメソングを手掛けるバンド・fhánaが結成されるきっかけともなったのは何でしょう?

 

Q19.

2021年をもって半世紀近く務めた読売巨人軍のウグイス嬢を引退した山中美和子は、元々大学野球の神奈川県大会でアナウンスを務めていたところ、彼女が病気を患ったことによる人手不足のため読売巨人軍に雇われ、以降半世紀近くに渡りウグイス嬢を務めることとなったという契機もあるほか、

アニメ『巨人の星』第78話『鬼のグラウンドキーパー』では、本人が自身の役を演じて主人公・星飛雄馬のアナウンスをするという役割を務め、タイトル通り実際にグラウンドキーパーを務めていた兄・三郎と共に声優としてカメオ出演し、これはアニメにおいて実在の人物が本人役で声の出演をする最初の事例とも言われている、

NHK職員から日本初のウグイス嬢となった青木福子の後釜として、1948年より多くのアナウンスを務めあげたウグイス嬢で、

読売巨人軍のV9時代を初めとする黄金期の後楽園のアナウンスに携わってその足跡を残し、主だった功績として宮田征典が8時半ごろの時間帯に頻繁に登板していることに気づき、彼女のその言葉を聞いた報知新聞記者の中山伯夫によって宮田の「8時半の男」という通称が生まれる契機を作ったほか、

立教大学時代から引退まで見届けた長嶋茂雄を初めとした、「4番」打者を「よんばん」ではなく「よばん」と読み上げ、その呼称を定着させたとされているのは誰でしょう?

 

Q20.

同人誌やオタク文化にまつわる書籍では批評活動も行っており、アダルトゲーム雑誌『PURE GIRL』2003年7月号では、大塚英志が小説の書き方を記した『物語の体操』を引き合いに出し、「読者は作家に興味を抱かないはずなのに、最近は作家が自分を押し付けまくる作品が流行っている」と述べており、このカテゴリに当たる作家として西尾維新舞城王太郎新海誠といった当時の若手作家の名を挙げ、彼らの手によって「セカイ系」が流行っていると評しているほか、

このような論調に象徴される「セカイ系」という概念の確立に大きく寄与した人物でもあり、講談社のムック『ファウスト』では、清涼院流水の『JDC』シリーズと上遠野浩平の『ブギーポップ』シリーズを例にとり、セカイ系の基準を「世界をコントロールしようという意志」と「成長という観念への拒絶の意志」があるものだと述べており、

また東浩紀が配信したメールマガジン波状言論』に端を発する著書『美少女ゲームの臨界点』にも多くの寄稿を行うなど、「セカイ系」という言葉を初めて活字メディアに導入したとされている人物で、

本業はアダルトゲームのシナリオライターであり、企画者としてのデビュー作となった1999年発売のアダルトゲーム『嬌烙の館』は、不気味な雰囲気の館ものとして一定の評価を受けながら、「喘ぎ声合成システム搭載ゴシックAVG」と銘打たれている通り、鍵がかかっているドアを開けるためにヒロインたちとまぐわい、ヒロインが発する喘ぎ声を収集してミキシングし、それによってカギを作ってドアを開けるという、音声を攻略のシステムとして扱うという今でも斬新かつ奇天烈なゲームシステムを作り上げ、後に彼の作品の象徴ともなる哲学的なシナリオを垣間見ることができる、

シナリオライターとしての代表作に、SHIHOが歌うエンディングテーマ『birthday eve』を作詞した評価も高い『Sense Off』、ラブコメチックなパッケージと相反して、中身は意味深長な内容となっていることでも話題を呼んだ『未来にキスを -Kiss the Future-』や、一度筆を置いてから数年後に復帰した際には『猫撫ディストーション』『ギャングスタ・リパブリカ』といった知名度の高いアダルトゲームのシナリオを担当し、加速主義を根底に敷いた哲学的な脚本が耳目を集めたのは誰でしょう?

 

 

回答 (カッコ内は正解率) *1

A1.武井信也 (たけい・しんや) 0%

A2.カンダハルの野獣 (The Beast of Kandahar) 0%

A3.坂本鹿名夫 (さかもと・かなお) 18%

A4.サラ・トリマー (Sarah Trimmer)  0%

A5.チャールズ・ブロンソン (Charles Bronson) *2 0%

A6.大森田不可止 (おおもりた・ふかし) 14%

A7.鶴岡市立朝暘第一小学校 (-ちょうようだいいち-) 0%

A8.ジョン・スティール (John Steele) 0%

A9.福山真魚 (ふくやま・まお) 0%

A10.岡田圭子 (おかだ・けいこ) 0%

A11.『家族ゲーム*3 0%

A12.三角餅 (みかどもち) *4 10%

A13.滝の間 *5 0%

A14.『Bliss』 16%

A15.東白川村 46%

A16.『浄瑠璃』 23%

A17.スーザン・ヘッドリー (Susan Headley)/スーザン・サンダー 0%

A18.『Cipher サイファ』 33%

A19.務臺鶴 (むたい・つる) *6 33%

A20.元長柾木 (もとなが・まさき) 28%

 

 

*1:ただし、スルーは含めない (押した場合の正解率のみ)

*2:リングネームは同名の俳優から

*3:同作のサブタイトルは毎回何かしらの映画のタイトルがつけられている

*4:帝→三角と転じた

*5:正式には駅名は「滝ノ間」

*6:読売新聞社社長の光雄は叔父に当たる

インターネットはセカイ系 ―"Hello, World"より ―

 

※当記事はクイズを作った延長線上で書いた記事であるゆえ、「作問」とか見慣れぬ単語があったらクイズのことだと思って頂きたい。

 

 いきなりだが、諸君は長い間アニメ(ドラマでも映画でもよい)を見ていて、作中人物がスマートフォンをいつ、どの年の、どの作品から使いだしたかを覚えているだろうか?

 愚かなことに僕は作問まで考えたことはなかった。呆けた面でアニメを見続けている間にも、いつしか登場人物が持つそれはガラケーからすり替わっていた。さながらアハ体験のように澄ました顔で。

 これについて原因を分析しあえて自己弁護するのであれば、携帯電話が主眼に置かれる作品でない限り、所詮マクガフィンに過ぎない携帯に視点を置く人間なんていないから、という理屈が成立する。仮にそれに注目するような人間がいたとしたら、ガラケーのアンテナから送信される怪電波に従って動いている携帯星人に違いないはずである。

 が、しかし、だ。いくら言い訳しようが喚こうがどこかに「作中の端末がガラケーからスマホに変わっていた」というシンギュラリティが存在したはずなのである。それなのについぞ僕は見過ごしてしまった。本当はリアルタイムで見れるはずだったその転換点を追えなかったことがが悔しくてたまらかった。

 だから、後の祭りだとは解っていても、ガラケースマホの境界線を探そうと必死になってキーボードを叩いた。己の無力さを感じながら。すると、「初めてスマホが登場したアニメは何か」というまさに求めている内容に沿った情報が出てきた。彼がどのような方法を用いて調査したかまでは明らかではないが、携帯星人は実在したのだ。空の青さを知ったところで、電子の海は果てしなく深いことを痛感させられる。

 こうなってしまえば決断は早い。僕はありがたく情報を拝借し、今回の企画のうちの1問として出そうと相成った。勿論1つの情報を鵜吞みにしてしまうのは公の場に出す作問としては相応しくないので、いつものようにオープンソースと、僕自身が見ていたこの近辺のアニメ(幸い、2006-07年のアニメは殆ど見ている)の記憶とを突き合わせながら正当性を問うた。今回は多少なりとも特殊な例ということもあり「独自研究を含む」という予防線に近い前フリも入ったが、概ねかようにして1問が作られるのである。

 

 思うに、僕が今まで幾度となくやってきたこのことこそ、インターネットの"Hello, World"を象徴する出来事だと思うのだ。突然ブログタイトルを回収しにかかったような格好で申し訳ないが、ここで1つ問う。

 諸君らにとって"Hello, World"とはどのような想像を掻き立てるものだろうか?

 

 無論、形而下においてHello, Worldというものは一次元の文字情報に過ぎない。このブログを読んでいるような人なら大抵は知っているだろうけれど、"Hello, World"というのはベル研の偉大なる計算機学者、ブライアン・カーニハンが初めて書いたとされる最も単純なプログラムのひとつである。実際のところ、出力された言葉にHello, World以上の意味はなく、「こんにちは、世界」と訳す必要もない。なんなら利便性の問題さえ除けば"Gwkkim Qieks”というようにキーボードの文字を1つずらして打ち込んだって本来は何ら問題がないはずである。なぜなら、プログラミングにおけるHello, Worldに「プログラムが想定通りの動きをしていたか確認する」以外の意味はないからだ。

 しかし、ここで先程の質問を見て頂きたい。僕が問うているのは現実的なプログラムとしての話ではなく、「どのような想像を掻き立てるか」である。僕は今からそれを書こうと思うので、差し支えなければ諸君らも考えてみてほしい。なおプログラミング言語を指すHello, Worldに固執する必要はない。BUMP  OF CHICKENの楽曲『Hello,world!』でも、エロゲーの『"Hello, world."』でも、アニメ映画の『HELLO WORLD』でも、そもそもHello, Worldという言葉にまつわるものでなくても構わない。あくまでイメージの話なのだから。とかくあなたの思う「ハローワールド」を描いてほしいのだ(余談だが、Wikipediaの関連項目における「Hello world」は青に関連するものばかりであった。後述するが僕もこうした潜在的イメージの影響を受けたようだ)。

 別に全く考えなくてもいいし、その上で僕のことをPPDだとかNPDだとかパラノイアだとか心中で嘲罵したって一向に気にはしない。しかしインテルの創業者の一人、アンドリュー・グルーブはかつてシリコンバレーのことを「パラノイアだけが生き残る」と言っている。先のプログラミングの話の流れから来ると、この場でパラノイアと言ってしまうのは少々皮肉めいたものになる気がする。

 

 それはさておき、僕の"Hello, World"のイメージはこうだ。

 

 ある男がPCを使っていた。男を取り巻くのは明かりも消えた暗い部屋で、カーテンは閉め切られ、PCの明かりだけが寂しく点っている。彼はキャスターに座りながら膝を抱え、生気の宿らない目で、そして書痙のように震えた手でキーボードに"Hello, World"と入力し、やっとの思いでエンターキーを押下した。すると――。

 電光掲示板のように読み込まれたHello, Worldの文字がロード画面に移り変わり、それが100%に到達した途端、辺りはまばゆいほどの光に包まれた。男のいた暗い部屋を漂白するように。突如放たれた閃光に眩んだ男が視力を取り戻すと、さっきまでモノクロに包まれていた部屋が色を取り戻し、あるべき姿を湛え、いつの間にか開いていたカーテンからは陽光が降り注いでいた。一瞬の出来事に混乱していた男が慌ててPCに目を戻す。すると、極彩色に包まれた亜空間を背景にして、1人の少女がこちらに微笑みを投げかけ、こう言うのである。

「ハロー、ワールド!」と。

 

 いかがだろうか。1単語から想像するものを言語化しろと言われてもなかなか具体的にアウトプットできるものではないが、一度提言した以上はストーリー仕立てで書くべきであると判断した。このイメージは実在非実在のあらゆるものがミキサーにかけられ僕にしか飲めないジュースとなったものを、他人にも伝わるように言語化という体で可能な限り表現しているだけに過ぎず、実際にはもっと複雑なはずである。しかし1つ言えることがあるとすれば、このイメージの一部の元ネタを思い出せることだ。それがこれである。

 

livetune feat. 初音ミク 『Tell Your World』Music Video

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 早いものでもう発表から10年以上が経過している楽曲だが、黎明期の「Google Chrome」のイメージソングとなってCMで流れたということもあり、ボカロに興味がなくともご存じの方は多いだろう。

 僕はニコニコ動画の「最古参」というわけではないが、登録した2008年頃から電子の海を漂うプランクトンでは決してない姿ある者として肩までニコニコに浸かっていたし、加えて幼い頃から沿ってきた遥か地下の文化が1Fにあるお茶の間に流れるということも含めて、これらが結びついたことにより鮮烈な印象をもたらしたのだと思う。尤も今の僕はオタクカルチャーが表に出ることを嫌う。そして一定の汎用性の高い構文を持たず、画一化されていないコミュニケーションが図れ、かつ閉鎖的でアンダーグラウンドなものにこそ価値があるという視野狭窄で頑執妄排な思考を拗らせている。これはちょうど『Tell Your World』から1年後に起きた、ある掲示板の事件が尾を引いている。

 ――でも、それはまた別の話。少なくともこの頃の僕にとって、『Tell Your World』は「インターネットの将来」という広い概念にも拘らず、これ以上ない期待を寄せる描写がされたものであった。先程の驢鳴犬吠たる妄想日記に書いた「極彩色に包まれた亜空間」というのはまさにこのPVで初音ミクが躍っている空間そのものだし、今でもそんなイメージが去来しているのだと思う。

 要するにインターネットとは、「画面の向こうにいる嫁」的な二次元でもなく、現実に即した三次元でもなく、時間軸のある四次元なのである。我々が普段何気なく目にする書き込みや呟きなどといったものは、全て過去に位置している。僕もそうして過去の文献を漁って情報を入手したわけであり、誰かが電子の海に情報を発信したから、サルベージをして情報を享受できたのである。その内技術が発達すれば、やがてポリトープを飲み込むほど高次の存在になる可能性を秘めているのがインターネットなのだ。

 四次元というとドラえもんの四次元ポケットを思い出す方は多いかもしれないが、思うに四次元ポケットもまさしくインターネットであると言える。数多のひみつ道具が入っていながらどうしてすんなり希望のひみつ道具が取り出せるのか、と疑問に思った方は多いだろうし、僕も昔はそうであった。しかしどうやらこの四次元ポケットというものは優れもので、単なる無限収納機構というだけでなく、欲しいひみつ道具を脳内にイメージしてからポケットに手を入れることによって希望通りのものが出てくるらしいのである。なお稀に「あれでもないこれでもない……」とか言いながらたくさんの道具を床に打ち捨て、希望するひみつ道具を探すドラえもんを見たことがある人もいるかもしれないが、あれは適切に脳内にイメージできてないからであろう。流石、きちんと描写されている。

 インターネットの検索にしたって同じだ。事前に何のどのような情報を知りたいかイメージすることによってより適切な検索ワードを打ち込むことができ、希望に沿った検索結果が表示されるのである。反対に情報を整理せず闇雲に「あれでもないこれでもない……」をしてしまうと欲しい情報は出てこないし、時間も手間もかかる。泣きっ面に蜂である。

 

 ……と、色々くどくどと述べてきたが、以上をもって僕は満を持したと思っているので、ここで1つの仮説を投げかけたい。それはブログタイトルにある通り、「インターネットはセカイ系」だということである。

 

 突然の論理の飛躍に狼狽えたかもしれないが、順を追って説明していく。まず今回の企画のテーマでもある「セカイ系」についてだが、その意味については調べれば解ることだし、度々俎上に載る定義の曖昧さについても話がややこしくなってしまうのでここでは触れない。とりあえず、ここではセカイ系の定義を「きみとぼく」に設定している。これはセカイ系を語るうえで最もよく取り上げられる概念であり、東浩紀波状言論』ではニトロプラス大樹連司がそう主張するなど由緒正しい説である。概ね「ボーイ・ミーツ・ガール」に近いもの、と考えてもいい。

 尤もセカイ系の代表格としてよく上げられる『涼宮ハルヒの憂鬱』なんかは、僕に言わせればセカイ系と日常描写の代表例こと空気系との間の子だと思っているのだけれど、これについて触れると話がややこしくなってしまうので以下略。よってここではセカイ系の原点Oを、こちらもまた代表的な作品である秋山瑞人の『イリヤの空、UFOの夏』に設定している。今回の企画にも登場したし、今は夏だし、ちょうどいいはずである。

 

 かような形で、ここでは大前提:セカイ系=小前提:きみとぼくという図式から、きみとぼく=インターネットという結論になることを理解してほしい。詐欺師が愛して止まない三段論法であるが、生憎僕にはその素質があると考えているので使わせてもらう。

 インターネット=きみとぼくという仮説を僕が打ち立てた時に、まず疑問に思うだろうと推測されるのは、「インターネットは自分1人と無数の人間で成り立っているのではないのか?」ということだ。確かにインターネットは俯瞰したときにたった1人が数億人もの人間を相手にしている構図が成立するかもしれない。しかし、それはあくまで俯瞰の話。1人称で見れば所詮[ぼく - 他人](きみ)の関係に過ぎないのではないか、と思うのである。

 もう少し説の柱を補強しよう。僕が忌み嫌うものの1つに匿名掲示板というインターネットの象徴がある。彼らはコテハンでない限り基本的に匿名であり、ごく一部言動に特徴がある者を除けば個性というものが発現しにくい。そして、その状態で議論が発生し、二項対立が発生したとして、意見1をA、意見2をBとする。そしてあなたはそのどちらかのグループの円卓についた。

 当然、掲示板に書き込みをしている人間は複数いるのだからA派のグループとB派のグループに分かれて、日常生活でヘイトを溜めている連中が「レスバトル」をする。5ちゃんねるではよくあることだ。そしてここからが問うべきところなのだが、あなたは同じグループに匿名xと匿名yなる2人の人物がいたとして、彼らを区別して議論をするだろうか?

 僕は否だ。匿名という特徴がない存在である以上、「グループにいる集合体」としか認識できないからだ。仮に区別しようとしても、潜在意識ではどこかシャム双生児のように繋がって見えるはずである。こうして軍隊アリのように団結し、自身が強いと錯覚した匿名は何か大きなことをしでかすこともあり、まるでスイミーのように1つの集団となる。この場合「眼」になっている黒い魚は、あなたなのである。ゆえに「きみとぼく」なのだ。神様(読者)の視点から俯瞰して見れば「巨大な魚」に見えるのだろうけれど。

 ……じゃあ、対岸の意見のグループは誰なのかって? それはまた、[きみ(メインヒロイン)]ではない別の登場人物なのではないか。と考えている。当たり前だが、セカイ系がいくらきみとぼくの物語だからと言って登場人物が2人だけしかいないなんてことはない。だから対岸にいるのは主人公と敵対する悪の親玉だったり、机をくっつけて弁当を食べるような間柄の友人であったり、主人公に強い影響を与えた大人だったりするのではないか。この辺りは対岸の主張によって千変万化するだろう。

 

 先程「匿名という特徴がない存在である以上」と書いたわけだが、では匿名でない、主流のSNSのようなハンドルネームがついたインターネットはどうなるのか? という疑問が湧くかもしれない。しかし、この状態でもやはり僕は「きみとぼく」を主張する。

 それは何故か。思うに、匿名から脱した状態でもインターネットの人間は1つのテーマのもとに群れたがるからだ。いわゆる「界隈」というものである。例えば横山光輝作画の漫画『三国志』には、「我ら生まれた日は違えども 死す時は同じ日同じ時を願わん」という名台詞がある。まあこれは現実に起こった話でインターネットの話ではないのだが、「コミュニティを形成して集団になりたがる」という点では匿名の有無に拘わらず変動しない。そしてこんな感じのキザなセリフを言うと先程と同様に「団結」が発生して、「ぼく」の1人称で見た時に1つの集合体となる。やはり、インターネットではどこでも[ぼく - 他人](きみ)の構図が成立しうるのだ。

 

 さて、僕の想定できる限りの疑問と書きたいことが紹介できたので、以上をもって「インターネットはセカイ系」の主張を終える。企画の話になるが、今回の作問にはいつも以上にテーマがあった。普段は大体"知らなくても興味を持ってもらえれば幸い"という体で作問しており、まあそれも立派なテーマなのだけれど、今回以上にテーマを駆使したノンジャンルの作問はないと思う。

 そもそもかような文章を書いてまでどうしてテーマを作ったかということだが、これは僕が普段企画参加している際の青問にセカイ系のコンテンツが殆どなかったからである。SFを親にして生み出されたライトノベルに端を発するとはいえ、本来は由緒正しい青コンテンツとしてオタクカルチャーに爪痕を残していたはずである。それこそ先述した『波状言論』なんかはオタクの教科書ではなかったのか――。そうして途方に暮れていたわけだが、しかしどうしようもないものはどうしようもない。打ちひしがれるしかなかった。僕は無力さに関してだけはセカイ系の主人公にも引けを取らないのである。

 ならば、布教するしかない。人望がないのでどの程度企画に参加してもらえたのか、もっと言えばこの文章を読んでくれたユーザーはさらに絞られるだろうが、僕にできるのは所詮一次元にしか満たない文字を紡ぎ続けることだけである。けれど、この文字が先に触れた「四次元」まで飛躍するかもしれないことがインターネットの良さであり、僕が見つけたレーゾンデートルである。六畳一間に鎮座するラップトップが世界中どこへも行ける魔法のアイテムと化すかは、結局のところ"ぼく"次第なのだ。

 ……とそれっぽい言葉で締められたところで、今回の結びとする。言い忘れていたが、リンクを張ったコンテンツは是非とも触れて頂きたい。特に秋山瑞人の作品は、触れてもらうだけで今回のブログの意味があるというものである。なお読後感に幸せを求めるのであればノベライズ版の『鉄コミュニケイション』しかお勧めできない。「セカイ系」の性質上仕方ないところもあるが、なにぶん寡作すぎるのだ。

 

 それでは諸君、よいインターネットライフを。

 

 

問題集より―― 前書き+α

juryが「みんはや」で出題したノンジャンル670問 - nanikadoing - BOOTH より

 

まえがき

まず初めにこの度は僕の問題集を購入して頂き感謝の意を表する。まえがきなんぞに興味がなく問題の方を見たいという方は短・中文問題集は次のページから、長文問題集は62ページから見られるということを記しておく。しかしながらまえがきに加えて、61ページの「なぜ長文を作るのか」という私見については制作意図を込めたものであり、是非とも読んで頂ければ幸甚である。

 さて、当問題集は僕がアプリゲーム「みんなで早押しクイズ」にて放流した短・中文580問、長文90問の計670問を収録したものである。まずもって僕自身が2018年4月頃に「みんはや」を始めるまでは全くと言っていいほど競技クイズに造詣がなかったこともあり、初期に作った問題にはかなり稚拙なものも含まれている。そういった問題を出題するうちに傾向を血肉とし、研鑽を積むことによって通常の競技クイズとは良くも悪くも一味違ったテイストを醸しだしているのが僕の出題するクイズなのだと思う。既存ベタ問へのアイロニーであったり目先を変えたようなものも作問したが、何より長文問題がその象徴と言っていいだろう。これについては先述の通り詳しくは57ページで触れている。また「みんはや」のレートから初めて知ったものはある程度あるのだけれど、基本的に「みんはや」を始めてからつけた知識で出題する問題はない。全てかつての僕がアカシックレコードの中から抽出した記憶であったり、ルーティーンの中で目にした関心事から出題している。例えば「リンゴ」という単語を思い浮かべたときに記憶している様々な事柄を樹形図のように拡げ、果ては枝葉末節に至るまで思索に耽ると、問題にする意義があるものが取り出せることもある。もっともこの方法は僕の負担も大きいので現状の通りなかなか企画を開く頻度は上がらないのだが、今のところ出題価値があるものを求めるには最適な方法であると考えている。加えて僕は未だ界隈におけるベタ問というのがどういった傾向を持っているのかいまひとつ解っていない。せいぜいノーベル賞や芥川・直木賞などの著名賞の受賞者は避けるべきということくらいである。そうした右も左も解らない中で「価値のある問題を出そう」とするのが素人の僕のモットーであり、「みんはや」をプレイする者としてのレゾンデートルではないかと今のところ考えている。

 とかくそういった視点でこの640問を見て頂き、興味を持った事柄は調べてもらえればこれ以上のことはないし、この問題集についても何でも構わないからリアクションをしてもらえればなおのこと有り難い。ひとえにお願い申しあげる次第である。そして「問題に価値はつけられるが、人智に価値はつけられない」ということを念頭に置いて閲覧頂ければと思う。
 
 なお、当問題集はあくまでノンジャンルで放流したもののみであり、青問やカルト企画で使用した問題は含まれていない。こちらもその内まとめて商品化する次第である。また当問題集の問題の羅列は概ね時系列に則るものではあるが、必ずしもそうとは限らない。付け加えてこのような試みが初めてということもあり、何か際立った不手際などあれば報告して頂けると幸いである。

 

 

juryが「みんはや」で出題した青問400問 - nanikadoing - BOOTH より

 

まえがき

まず初めにこの度は僕の問題集を購入して頂き感謝の意を表する。当問題集は僕が「みんはや」で公開したアニメ、ゲーム、マンガ、インターネット文化といった俗に言う「青問」に内包されているものを紹介している。しかしカードゲームやテーブルゲーム、ホビーにTRPGといったものは造詣があまりないため問題が全くと言っていいほどなく、また特撮に至っては青問だと思っていないため収録していないことをご了承されたい。

 問題は短文283問と長文117問の計400問からなる。また長文のうち赤枠で囲ってある最初の30問は、僕が長文を作るきっかけとなったカルト企画「早世したアニゲー同人ネット関係者」に収録したもの。その後の経緯についてはノンジャンルの問題集の方で詳しく触れている。

 以上が大まかな概要である。加えてまえがきに必要な僕にとってのポリシーのようなものも前問題集で散々のたまったので、何か青問についての話をしなければならない。そうだね、ノンジャンルと差別化を図る目的で言えば、まず青問はとにかく偏りやすいということ。無論これは僕自身の守備範囲、或いはもう少し狭めた"趣味範囲"が狭いこともあるが、なかなか作問する上で価値のある情報を引き出すことが難しい。よってノンジャンル以上に初期に作問したもの(当問題集で言えばおおよそ番号の若いもの)には稚拙な問題が多い。実のところ初めて企画した青問は僕にとって初めてかつ唯一の100人以上集まった企画でもあったのだけれど、未だに何が原因でそこまで来訪者が多くいたのかは解らない。逆に現状の参加者は半分以下にまで落ち込んでいるため、より多くのユーザーに見てもらいたい長文企画の方が広まらないと言った有様である。この辺りで僕自身の無力さを感じる。そもそも「みんはや」のフリーマッチが始まってからある程度の「界隈」が形作られるようになったからだろうが、僕のいない間にいつの間にかさらに結びつきが強くなったようで、無名のバガボンドたる僕には少々やりづらいところもあるのかもしれない。

 ……愚痴をしたためてばかりではいたたまれないだろうから話を戻そう。青問の範囲の話である。これは通常のノンジャンル以上に制作者の趣味が出るものであり、よくよく観察するまでもなく任意のユーザーの企画毎に同じコンテンツが入っているということもザラにある。また青問そのものも広義で言えばカルトなのだから、作問者が問題文で語る愛をどのように捉えていくか、ということも焦点となっていくのではないか。つまるところ僕らは任意の作問者が生涯において育ててきた食材から出たスープを、「みんはや」という器によそいところ構わず啜っているのである。その十人十色で千錯万綜の玩わいを好みと感じるかどうかはその人次第だ。

 

 

コラム - なぜ長文を作るのか

僕の作問スタイルを象徴するものとして文章を長くした問題、所謂「長文」を挙げて頂ける方は多いかもしれない。次の62ページから記しているのは若干長さに違いはあれどそのような意識をして作った90問である。基本的に長文問題というものは冗長であったり話が脱線しているものを一文でまくしたてる訳であるから、オッカムの剃刀のように問題文の長さを必要最小限に留める競技クイズにおいては敬遠されている(と感じている)。しかしながら、競技クイズにおけるの単文の枠組みに収まらないほど多様な逸話に事欠かない事象も多くあるわけで、そうしたものを取り逃してしまうのはもったいない。そして何より、長文になってしまうほど僕が興味を惹かれているということの証左でもある。かようなことを反映していくと、僕にとって作問というのは自己表現の一種でもあるのではないかとも考えており、それが最も際立った形で現れるのが長文問題ではないかと結論付けている。
 
 そもそもどういった契機でこうした長文問題を作るようになったかと言えば、2019年3月9日に行った企画「早世したアニゲー同人ネット関係者」によるところが大きい。物故者への思い入れの丈を僕なりにぶつけていった結果文章が膨れ上がってしまい、気が付いた頃には削ろうにも削れない状況に陥ったのである。そこでいっそのことこのまま流してしまおうと相成ったのがこの企画であったのだけれど、有り難いことに結果は"長文であったお陰で"概ね好評であった(Twitterで[since:2019-03-09 until:2019-3-10 #みんはや]と入力しひたすら遡れば当時の様子が確認できる。なおこの問題集は「青問題集」の一部として販売する予定であるのでそちらにも興味を示して頂ければこの上ない)。その時には自覚がなかったけれど、この若書が僕の長文を製作する契機であったことは寸毫の疑いを入れるまでもないだろう。
 
 こうして味を占めた僕はノンジャンルでも最早「長大文」と言えるほどの長文問題を製作するようになった。言うまでもなくこれほどの文量であると作問に時間がかかることのみならず取り掛かることすらなかなかままならない状況があり、企画スパンが相当長くなってしまうのでしばらく失踪していた時期もあった。加えてこれはあくまで所感であるのだけれど、「みんはや」の企画参加者は以前より明らかに知識を身に着けているように感じてしまい、より魅力的な情報かつ、なるべく知られていなさそうなものを海馬を漁りながら展開させアウトプットしている状況である。おかげさまで最も直近に行った長文企画(2021/11/26)では最高得点者でも3/20という最低記録を出してしまった訳だが、流石にもう少し答えることができないとクイズというものは面白くないだろうから、この辺りの塩梅は推敲せねばなるまい。もっとも競技クイズ界隈を知らない僕は物差しを持たないのだから、結局好きなように作問してしまう羽目になりそうである。
 
 そんな感じでここまで長文の作問をする理由を長々書いてきたわけだけれど、別に長文を書く背景なんかは知らなくたって構わない。ほんとうに伝えたいことは、僕が長文企画を行った時によく口にする"知らなくても興味を持ってもらえれば幸い"という言葉なのである。